誰でも自己破産できるの?
支払不能であれば誰でもできます。
支払不能とは、借金をどうやっても返しきれない状態であると裁判所が判断した場合です。明確な基準はありません。
目安は、
例)月々20万円の手取り収入で借金総額350~400万円程度→支払不能である。
例)現在、財産がなくてもこれから働いて借金を返せるだけのお金がある場合→支払不能ではない。
例)年間1000万円の収入がある人でも、それ以上の借金がある場合で病気のために働けなくなった。もしくは手元の財産(有価証券や会員権など)を売却しても返済しきれない。→ 支払不能である。
例)生活保護を受給している場合で、130万円の借金→支払不能である。
以上はあくまでも目安であり、人それぞれに判断されます。 自己破産するのが妥当かどうかは、弁護士・司法書士に相談することをお勧めします。
家族に内緒で自己破産できるの?
可能です。
家族が連帯保証人となっていない限り可能です。 裁判所からの通知を自宅以外に送ってもらうこともできます。 しかし、絶対に内密にできるというわけではありません。
同居している家族の収入を証明する資料(給与明細等)を裁判所に提出する必要がある。→ 理由を説明しなくてはならない。
サラ金から訴えられ、訴状が自宅に届き気づかれてしまう。
7年ほどローンを組めなくなる。→ 高額な買物はできなくなるので、理由を尋ねられる。
後から発覚してトラブルになるより、前もって家族に相談した方が良い結果となるで しょう。
自己破産するとお金を借りられなくなるの?
5~7年間は借りられません。
自己破産すると、いわゆるブラックリストに載ります。
ブラックリストといわれるのは、信用情報機関の登録情報のことです。登録期間は機関によって違いますが、大体5~7年です。この期間は、お金を借りたりカードを作ったりすることは難しくなります。 これは任意整理、個人再生、特定調停の場合も同様です。
ちなみに、免責決定後7年間は原則として、再び免責を受けられません。つまり、この間は破産をしても借金は0になりません。貸してくれる所がないからといって、間違ってもヤミ金から借りないよう気をつけましょう。
銀行が使えなくなるの?
銀行口座は使えます。
預金や引き出しはそのまま使えます。公共料金などの口座引き落としも問題ありません。
ただし、5~7年間は新たにお金を借りるのは難しくなります。 銀行からお金を借りている場合で、給与の振込先もその銀行にある場合は、給与の出金ができなくなる場合があります。
その他、口座からクレジット会社が引き落としをしている場合は注意が必要です。口座にあるお金を引き落とされてしまう可能性があるからです。口座を解約したり、残高を0円にしておくなどの対策が必要になります。
連帯保証人に迷惑がかかるの?
かかります。
自己破産すると、連帯保証人に一括請求がいきます。連帯保証人が払えない場合は、保証人も自己破産や任意整理といった手続きをする必要があるかもしれません。だからといって何もせず借金が膨らめば、結果的にはもっと保証人に迷惑をかけます。
早めに事情を伝え、一緒に対策を相談しましょう。
免責がおりるまで何回裁判所に行くことになるの?
通常1回です。
申し立てた後、1~3ヵ月後(裁判所の混み具合による)に裁判官との面接に呼ばれます。借金の理由や生活の状況などについて質問されます。 管財事件(家などめぼしい財産がある場合)は、この限りではありません。
免責不許可事由ってなに?
免責不許可事由が多いと借金がなくなりません。
免責不許可事由とは、
などがあります。
ただし、不許可事由があっても実際には90%以上が認められています。
不許可事由に当てはまる場合は、まず弁護士・司法書士に相談することをお勧めします。
家を手放さずに自己破産できるの?
できません。
家は売却されるか競売にかけられ、お金に換えて貸主に分配されます。だからといって、新しい買主が現れるまでは家を出る必要はありません。実際には半年程度は住み続けることができるようです。
家を手放したくない場合は、任意整理など他の方法を選択しましょう。
家族(妻、夫、両親、兄弟)に取立がいくの?
いきません。
保証人となっていない限り、家族に借金を払う義務はありません。もし取立がきたらはっきり断りましょう。 しつこい場合は、監督行政庁(金融庁・各地の財務局・都道府県貸金業指導係)や裁判所に申し立てる方法などがあります。
逆に配偶者(夫・妻)や子供の保証人になっている場合は、たとえ離婚したとしても支払わなければなりませんし、子供名義の借金を払うことになります。
家財道具も手放さないといけないの?
手放す必要はありません。
よほど高価な物でない限り、手放す必要がありません。
また、日常生活に必要な物は差し押さえが禁止されています。
例)冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、テレビ、ラジオ、ビデオデッキ、エアコン、掃除機、ベッド、食卓セットなど
ちなみに、パソコンや高価なテレビなどもほとんどの場合手放す必要はないと言ってよいでしょう。ただし、商品をローンで買い、ローンが残っている場合は所有権がローン会社にありますから商品は返品しなくてはなりません。
選挙権がなくなるの?
なくなりません。
破産したからと言って、国民の基本的権利が奪われることはありません。投票することもできますし、選挙に立候補もできます。
戸籍・住民票に載るの?
載りません。
ただし、「官報」と本籍地の「破産者名簿」に載ります。
しかし、官報を読んでいる人はほとんどいませんし、破産者名簿を一般の人が勝手に見ることもできません。名簿に載るのも、免責の許可がおりるまでの短い間だけです。
引越しができなくなるの?
できます。
ただし、管財事件(高価な財産がある場合)の場合、免責の許可がおりるまでは裁判所の許可が必要です。
海外旅行に行けなくなるの?
行けます。
ただし、管財事件(高価な財産がある場合)の場合、免責の許可がおりるまでは裁判所の許可が必要です。
会社をクビになるの?
クビになりません。
破産したことが理由で会社がクビにすることはできません。また、会社から借り入れしていない限り、裁判所から会社に破産に関しての通知がいくことはありません。
ただし、弁護士、公認会計士、税理士、証券会社外務員、生命保険募集員、警備員、株式会社の取締役、監査役などの場合、資格が停止します。 免責の許可がおりれば、この制限もなくなります。
生活保護、失業保険、年金がもらえなくなるの?
もらえます。
通常、これらの給付は差押さえが禁止されています。
生活保護、失業保険、年金がもらえなくなるの?
給料の差押さえは手取りの4分の1までです。
給料の手取りが28万円より少ない場合は手取り金額の4分の3、28万円より多い場合は21万円が差し押さえ禁止です。
例1)手取り額が20万円の場合、4分の1(=5万円)
例2)手取り額が35万円の場合、差し押さえができるのは14万円
しか差押さえできません。
破産が決定すれば、差押さえもなくなります。 その後に得た収入については、自由に使えます。