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民事再生法
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 再生債務者 経済的に窮境にある債務者であって、その者について、再生手続開始の申立てがされ、再生手続開始の決定がされ、又は再生計画が遂行されているものをいう。
二 再生債務者等 管財人が選任されていない場合にあっては再生債務者、管財人が選任されている場合にあっては管財人をいう。
三 再生計画 再生債権者の権利の全部又は一部を変更する条項その他の第百五十四条に規定する条項を定めた計画をいう。
四 再生手続 次章以下に定めるところにより、再生計画を定める手続をいう。
(外国人の地位)
第三条 外国人又は外国法人は、再生手続に関し、日本人又は日本法人と同一の地位を有する。
(再生事件の管轄)
第四条 この法律の規定による再生手続開始の申立ては、債務者が個人である場合には日本国内に営業所、住所、居所又は財産を有するときに限り、法人その他の社団又は財団である場合には日本国内に営業所、事務所又は財産を有するときに限り、することができる。
2 民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)の規定により裁判上の請求をすることができる債権は、日本国内にあるものとみなす。
第五条 再生事件は、再生債務者が、営業者であるときはその主たる営業所の所在地、営業者で外国に主たる営業所を有するものであるときは日本におけるその主たる営業所の所在地、営業者でないとき又は営業者であっても営業所を有しないときはその普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
2 前項の規定による管轄裁判所がないときは、再生事件は、再生債務者の財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所が管轄する。
3 前二項の規定にかかわらず、法人が株式会社の総株主の議決権(商法 (明治三十二年法律第四十八号)第二百十一条ノ二第四項 に規定する種類の株式についての議決権を除き、同条第五項 の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。
次項、第五十九条第三項及び第四項並びに第百二十七条の二第二項第二号イ及びロにおいて同じ。)の過半数又は有限会社の総社員の議決権(商法第二百十一条ノ二第四項 に規定する持分についての議決権を除き、同条第五項 の規定により議決権を有するものとみなされる持分についての議決権を含む。次項、第五十九条第三項及び第四項並びに第百二十七条の二第二項第二号イ及びロにおいて同じ。)の過半数を有する場合には、当該法人(以下この条及び第百二十七条の二第二項第二号ロにおいて「親法人」という。)について再生事件又は更生事件(以下この条において「再生事件等」という。)が係属しているときにおける当該株式会社又は有限会社(以下この条及び第百二十七条の二第二項第二号ロにおいて「子会社」という。)についての再生手続開始の申立ては、親法人の再生事件等が係属している地方裁判所にもすることができ、子会社について再生事件等が係属しているときにおける親法人についての再生手続開始の申立ては、子会社の再生事件等が係属している地方裁判所にもすることができる。
4 子会社又は親法人及び子会社が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には、当該他の株式会社を当該親法人の子会社とみなして、前項の規定を適用する。子会社又は親法人及び子会社が他の有限会社の総社員の議決権の過半数を有する場合も、同様とする。
5 第一項及び第二項の規定にかかわらず、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律 (昭和四十九年法律第二十二号。以下この項及び第五十九条第三項において「商法特例法」という。)第一条の二第一項 に規定する大会社について再生事件等が係属している場合における当該大会社の同条第四項 に規定する連結子会社(当該大会社の直前の決算期において商法特例法第十九条の二 又は第二十一条の三十二 の規定により当該連結子会社に係る連結計算書類が作成され、かつ、定時総会において当該連結計算書類が報告されたものに限る。)についての再生手続開始の申立ては、当該大会社の再生事件等が係属している地方裁判所にもすることができ、当該連結子会社について再生事件等が係属している場合における当該大会社についての再生手続開始の申立ては、当該連結子会社の再生事件等が係属している地方裁判所にもすることができる。
6 第一項及び第二項の規定にかかわらず、法人について再生事件等が係属している場合における当該法人の代表者についての再生手続開始の申立ては、当該法人の再生事件等が係属している地方裁判所にもすることができ、法人の代表者について再生事件が係属している場合における当該法人についての再生手続開始の申立ては、当該法人の代表者の再生事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
7 第一項及び第二項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者のうちいずれか一人について再生事件が係属しているときは、それぞれ当該各号に掲げる他の者についての再生手続開始の申立ては、当該再生事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
一 相互に連帯債務者の関係にある個人
二 相互に主たる債務者と保証人の関係にある個人
三 夫婦
8 第一項及び第二項の規定にかかわらず、再生債権者の数が五百人以上であるときは、これらの規定による管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも、再生手続開始の申立てをすることができる。
9 第一項及び第二項の規定にかかわらず、再生債権者の数が千人以上であるときは、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所にも、再生手続開始の申立てをすることができる。
10 前各項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、再生事件は、先に再生手続開始の申立てがあった地方裁判所が管轄する。
(専属管轄)
第六条 この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。
(再生事件の移送)
第七条 裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、職権で、再生事件を次に掲げる裁判所のいずれかに移送することができる。
一 再生債務者の主たる営業所又は事務所以外の営業所又は事務所の所在地を管轄する地方裁判所
二 再生債務者の住所又は居所の所在地を管轄する地方裁判所
三 第五条第二項に規定する地方裁判所
四 次のイからハまでのいずれかに掲げる地方裁判所
イ 第五条第三項から第七項までに規定する地方裁判所
ロ 再生債権者の数が五百人以上であるときは、第五条第八項に規定する地方裁判所
ハ 再生債権者の数が千人以上であるときは、第五条第九項に規定する地方裁判所
五 第五条第三項から第九項までの規定によりこれらの規定に規定する地方裁判所に再生事件が係属しているときは、同条第一項又は第二項に規定する地方裁判所
(任意的口頭弁論等)
第八条 再生手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
2 裁判所は、職権で、再生事件に関して必要な調査をすることができる。
(不服申立て)
第九条 再生手続に関する裁判につき利害関係を有する者は、この法律に特別の定めがある場合に限り、当該裁判に対し即時抗告をすることができる。その期間は、裁判の公告があった場合には、その公告が効力を生じた日から起算して二週間とする。
(公告等)
第十条 この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。
2 公告は、掲載があった日の翌日に、その効力を生ずる。
3 この法律の規定により送達をしなければならない場合には、公告をもって、これに代えることができる。ただし、この法律の規定により公告及び送達をしなければならない場合は、この限りでない。
4 この法律の規定により裁判の公告がされたときは、一切の関係人に対して当該裁判の告知があったものとみなす。
5 前二項の規定は、この法律に特別の定めがある場合には、適用しない。
(法人の再生手続に関する登記の嘱託等)
第十一条 法人である再生債務者について再生手続開始の決定があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、再生手続開始の登記を再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならない。
2 前項の再生債務者について第五十四条第一項、第六十四条第一項又は第七十九条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による処分がされた場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、当該処分の登記を再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならない。
3 前項の登記には、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項をも登記しなければならない。
一 前項に規定する第五十四条第一項の規定による処分の登記 監督委員の氏名又は名称及び住所並びに同条第二項の規定により指定された行為
二 前項に規定する第六十四条第一項又は第七十九条第一項の規定による処分の登記 管財人又は保全管理人の氏名又は名称及び住所、管財人又は保全管理人がそれぞれ単独にその職務を行うことについて第七十条第一項ただし書(第八十三条第一項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の許可があったときはその旨並びに管財人又は保全管理人が職務を分掌することについて第七十条第一項ただし書の許可があったときはその旨及び各管財人又は各保全管理人が分掌する職務の内容
4 第二項の規定は、同項に規定する処分の変更若しくは取消しがあった場合又は前項に規定する事項に変更が生じた場合について準用する。
5 第一項の規定は、同項の再生債務者につき次に掲げる事由が生じた場合について準用する。
一 再生手続開始の決定の取消し、再生手続廃止又は再生計画認可若しくは不認可の決定の確定
二 再生計画取消しの決定の確定(再生手続終了前である場合に限る。)
三 再生手続終結の決定による再生手続の終結
6 登記官は、第一項の規定により再生手続開始の登記をする場合において、再生債務者について整理開始又は特別清算開始の登記があるときは、職権で、その登記を抹消しなければならない。
7 登記官は、第五項第一号の規定により再生手続開始の決定の取消しの登記をする場合において、前項の規定により抹消した登記があるときは、職権で、その登記を回復しなければならない。
8 第六項の規定は、第五項第一号の規定により再生計画の認可の登記をする場合における破産手続開始の登記について準用する。
(登記のある権利についての登記等の嘱託)
第十二条 次に掲げる場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、当該保全処分の登記を嘱託しなければならない。
一 再生債務者財産(再生債務者が有する一切の財産をいう。以下同じ。)に属する権利で登記がされたものに関し第三十条第一項(第三十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定による保全処分があったとき。
二 登記のある権利に関し第百三十四条の二第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)又は第百四十二条第一項若しくは第二項の規定による保全処分があったとき。
2 前項の規定は、同項に規定する保全処分の変更若しくは取消しがあった場合又は当該保全処分が効力を失った場合について準用する。
3 裁判所書記官は、再生手続開始の決定があった場合において、再生債務者に属する権利で登記がされたものについて商法第三百八十七条第二項 (同法第四百五十四条第二項 において準用する場合を含む。)の規定による登記があることを知ったときは、職権で、遅滞なく、その登記の抹消を嘱託しなければならない。
4 前項の規定による登記の抹消がされた場合において、再生手続開始の決定を取り消す決定が確定したときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、同項の規定により抹消された登記の回復を嘱託しなければならない。
5 第三項の規定は、再生計画認可の決定が確定した場合において、裁判所書記官が再生債務者に属する権利で登記がされたものについて破産手続開始の登記があることを知ったときについて準用する。
(否認の登記)
第十三条 登記の原因である行為が否認されたときは、監督委員又は管財人は、否認の登記を申請しなければならない。登記が否認されたときも、同様とする。
2 登記官は、前項の否認の登記に係る権利に関する登記をするときは、職権で、次に掲げる登記を抹消しなければならない。
一 当該否認の登記
二 否認された行為を登記原因とする登記又は否認された登記
三 前号の登記に後れる登記があるときは、当該登記
3 前項に規定する場合において、否認された行為の後否認の登記がされるまでの間に、同項第二号に掲げる登記に係る権利を目的とする第三者の権利に関する登記(再生手続の関係において、その効力を主張することができるものに限る。第五項において同じ。)がされているときは、同項の規定にかかわらず、登記官は、職権で、当該否認の登記の抹消及び同号に掲げる登記に係る権利の再生債務者への移転の登記をしなければならない。
4 裁判所書記官は、第一項の否認の登記がされている場合において、再生債務者について、再生計画認可の決定が確定したときは、職権で、遅滞なく、当該否認の登記の抹消を嘱託しなければならない。
5 前項に規定する場合において、裁判所書記官から当該否認の登記の抹消の嘱託を受けたときは、登記官は、職権で、第二項第二号及び第三号に掲げる登記を抹消しなければならない。この場合において、否認された行為の後否認の登記がされるまでの間に、同項第二号に掲げる登記に係る権利を目的とする第三者の権利に関する登記がされているときは、登記官は、職権で、同項第二号及び第三号に掲げる登記の抹消に代えて、同項第二号に掲げる登記に係る権利の再生債務者への移転の登記をしなければならない。
6 裁判所書記官は、第一項の否認の登記がされている場合において、再生債務者について、再生手続開始の決定の取消し若しくは再生計画不認可の決定が確定したとき、又は再生計画認可の決定が確定する前に再生手続廃止の決定が確定したときは、職権で、遅滞なく、当該否認の登記の抹消を嘱託しなければならない。
(非課税)
第十四条 前三条の規定による登記については、登録免許税を課さない。
(登録への準用)
第十五条 前三条の規定は、登録のある権利について準用する。
(事件に関する文書の閲覧等)
第十六条 利害関係人は、裁判所書記官に対し、この法律(この法律において準用する他の法律を含む。)の規定に基づき、裁判所に提出され、又は裁判所が作成した文書その他の物件(以下この条及び次条第一項において「文書等」という。)の閲覧を請求することができる。
2 利害関係人は、裁判所書記官に対し、文書等の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
3 前項の規定は、文書等のうち録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、これらの物について利害関係人の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。
4 前三項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者は、当該各号に定める命令、保全処分、処分又は裁判のいずれかがあるまでの間は、前三項の規定による請求をすることができない。ただし、当該者が再生手続開始の申立人である場合は、この限りでない。
一 再生債務者以外の利害関係人 第二十六条第一項の規定による中止の命令、第二十七条第一項の規定による禁止の命令、第三十条第一項の規定による保全処分、第三十一条第一項の規定による中止の命令、第五十四条第一項若しくは第七十九条第一項の規定による処分、第百三十四条の二第一項の規定による保全処分、第百九十七条第一項の規定による中止の命令又は再生手続開始の申立てについての裁判
二 再生債務者 再生手続開始の申立てに関する口頭弁論若しくは再生債務者を呼び出す審尋の期日の指定の裁判又は前号に定める命令、保全処分、処分若しくは裁判
(支障部分の閲覧等の制限)
第十七条 次に掲げる文書等について、利害関係人がその閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下この条において「閲覧等」という。)を行うことにより、再生債務者の事業の維持再生に著しい支障を生ずるおそれ又は再生債務者の財産に著しい損害を与えるおそれがある部分(以下この条において「支障部分」という。)があることにつき疎明があった場合には、裁判所は、当該文書等を提出した再生債務者等(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人。以下この項及び次項において同じ。)、監督委員、調査委員又は個人再生委員の申立てにより、支障部分の閲覧等の請求をすることができる者を、当該申立てをした者及び再生債務者等に限ることができる。
一 第四十一条第一項(第八十一条第三項において準用する場合を含む。)、第四十二条第一項、第五十六条第五項又は第八十一条第一項ただし書の許可を得るために裁判所に提出された文書等
二 第六十二条第二項若しくは第二百二十三条第三項(第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する調査の結果の報告又は第百二十五条第二項若しくは第三項の規定による報告に係る文書等
2 前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、利害関係人(同項の申立てをした者及び再生債務者等を除く。次項において同じ。)は、支障部分の閲覧等の請求をすることができない。
3 支障部分の閲覧等の請求をしようとする利害関係人は、再生裁判所に対し、第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、同項の規定による決定の取消しの申立てをすることができる。
4 第一項の申立てを却下した決定及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
5 第一項の規定による決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。
(民事訴訟法 の準用)
第十八条 再生手続に関しては、特別の定めがある場合を除き、民事訴訟法 の規定を準用する。
(最高裁判所規則)
第十九条 この法律に定めるもののほか、再生手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第二十条 削除
第二章 再生手続の開始
第一節 再生手続開始の申立て
(再生手続開始の申立て)
第二十一条 債務者に破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるときは、債務者は、裁判所に対し、再生手続開始の申立てをすることができる。債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときも、同様とする。
2 前項前段に規定する場合には、債権者も、再生手続開始の申立てをすることができる。
(破産手続開始等の申立義務と再生手続開始の申立て)
第二十二条 他の法律の規定により法人の理事又はこれに準ずる者がその法人に対して破産手続開始又は特別清算開始の申立てをしなければならない場合においても、再生手続開始の申立てをすることを妨げない。
(疎明)
第二十三条 再生手続開始の申立てをするときは、再生手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。
2 債権者が、前項の申立てをするときは、その有する債権の存在をも疎明しなければならない。
(費用の予納)
第二十四条 再生手続開始の申立てをするときは、申立人は、再生手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。
2 費用の予納に関する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
(意見の聴取)
第二十四条の二 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合には、当該申立てを棄却すべきこと又は再生手続開始の決定をすべきことが明らかである場合を除き、当該申立てについての決定をする前に、労働組合等(再生債務者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、再生債務者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは再生債務者の使用人その他の従業者の過半数を代表する者をいう。第二百四十六条第三項を除き、以下同じ。)の意見を聴かなければならない。
(再生手続開始の条件)
第二十五条 次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
一 再生手続の費用の予納がないとき。
二 裁判所に破産手続、整理手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
三 再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき。
四 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
(他の手続の中止命令等)
第二十六条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続の中止を命ずることができる。ただし、第二号に掲げる手続については、その手続の申立人である再生債権者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限る。
一 再生債務者についての破産手続、整理手続又は特別清算手続
二 再生債権に基づく強制執行、仮差押え若しくは仮処分又は再生債権を被担保債権とする留置権(商法 の規定によるものを除く。)による競売(次条、第二十九条及び第三十九条において「再生債権に基づく強制執行等」という。)の手続で、再生債務者の財産に対して既にされているもの
三 再生債務者の財産関係の訴訟手続
四 再生債務者の財産関係の事件で行政庁に係属しているものの手続
2 裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
3 裁判所は、再生債務者の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、再生債務者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより、担保を立てさせて、第一項第二号の規定により中止した手続の取消しを命ずることができる。
4 第一項の規定による中止の命令、第二項の規定による決定及び前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。
5 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
6 第四項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
(再生債権に基づく強制執行等の包括的禁止命令)
第二十七条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、前条第一項の規定による中止の命令によっては再生手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、すべての再生債権者に対し、再生債務者の財産に対する再生債権に基づく強制執行等の禁止を命ずることができる。ただし、事前に又は同時に、再生債務者の主要な財産に関し第三十条第一項の規定による保全処分をした場合又は第五十四条第一項の規定若しくは第七十九条第一項の規定による処分をした場合に限る。
2 前項の規定による禁止の命令(以下「包括的禁止命令」という。)が発せられた場合には、再生債務者の財産に対して既にされている再生債権に基づく強制執行等の手続は、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、中止する。
3 裁判所は、包括的禁止命令を変更し、又は取り消すことができる。
4 裁判所は、再生債務者の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、再生債務者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより、担保を立てさせて、第二項の規定により中止した再生債権に基づく強制執行等の手続の取消しを命ずることができる。
5 包括的禁止命令、第三項の規定による決定及び前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
7 包括的禁止命令が発せられたときは、再生債権については、当該命令が効力を失った日の翌日から二月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。
(包括的禁止命令に関する公告及び送達等)
第二十八条 包括的禁止命令及びこれを変更し、又は取り消す旨の決定があった場合には、その旨を公告し、その裁判書を再生債務者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人。次項において同じ。)及び申立人に送達し、かつ、その決定の主文を知れている再生債権者及び再生債務者(保全管理人が選任されている場合に限る。)に通知しなければならない。
2 包括的禁止命令及びこれを変更し、又は取り消す旨の決定は、再生債務者に対する裁判書の送達がされた時から、効力を生ずる。
3 前条第四項の規定による取消しの命令及び同条第五項の即時抗告についての裁判(包括的禁止命令を変更し、又は取り消す旨の決定を除く。)があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
(包括的禁止命令の解除)
第二十九条 裁判所は、包括的禁止命令を発した場合において、再生債権に基づく強制執行等の申立人である再生債権者に不当な損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該再生債権者の申立てにより、当該再生債権者に対しては包括的禁止命令を解除する旨の決定をすることができる。この場合において、当該再生債権者は、再生債務者の財産に対する再生債権に基づく強制執行等をすることができ、包括的禁止命令が発せられる前に当該再生債権者がした再生債権に基づく強制執行等の手続は、続行する。
2 前項の規定による解除の決定を受けた者に対する第二十七条第七項の規定の適用については、同項中「当該命令が効力を失った日」とあるのは、「第二十九条第一項の規定による解除の決定があった日」とする。
3 第一項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
4 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
5 第一項の申立てについての裁判及び第三項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
(仮差押え、仮処分その他の保全処分)
第三十条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、再生債務者の業務及び財産に関し、仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
2 裁判所は、前項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。
3 第一項の規定による保全処分及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
4 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
5 第三項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
6 裁判所が第一項の規定により再生債務者が再生債権者に対して弁済その他の債務を消滅させる行為をすることを禁止する旨の保全処分を命じた場合には、再生債権者は、再生手続の関係においては、当該保全処分に反してされた弁済その他の債務を消滅させる行為の効力を主張することができない。ただし、再生債権者が、その行為の当時、当該保全処分がされたことを知っていたときに限る。
(担保権の実行手続の中止命令)
第三十一条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、再生債権者の一般の利益に適合し、かつ、競売申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないものと認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、相当の期間を定めて、第五十三条第一項に規定する再生債務者の財産につき存する担保権の実行手続の中止を命ずることができる。ただし、その担保権によって担保される債権が共益債権又は一般優先債権であるときは、この限りでない。
2 裁判所は、前項の規定による中止の命令を発する場合には、競売申立人の意見を聴かなければならない。
3 裁判所は、第一項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
4 第一項の規定による中止の命令及び前項の規定による変更の決定に対しては、競売申立人に限り、即時抗告をすることができる。
5 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
6 第四項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
(再生手続開始の申立ての取下げの制限)
第三十二条 再生手続開始の申立てをした者は、再生手続開始の決定前に限り、当該申立てを取り下げることができる。この場合において、第二十六条第一項の規定による中止の命令、包括的禁止命令、第三十条第一項の規定による保全処分、前条第一項の規定による中止の命令、第五十四条第一項若しくは第七十九条第一項の規定による処分、第百三十四条の二第一項の規定による保全処分又は第百九十七条第一項の規定による中止の命令がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。
第二節 再生手続開始の決定
(再生手続開始の決定)
第三十三条 裁判所は、第二十一条に規定する要件を満たす再生手続開始の申立てがあったときは、第二十五条の規定によりこれを棄却する場合を除き、再生手続開始の決定をする。
2 前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。
(再生手続開始と同時に定めるべき事項)
第三十四条 裁判所は、再生手続開始の決定と同時に、再生債権の届出をすべき期間及び再生債権の調査をするための期間を定めなければならない。
2 前項の場合において、知れている再生債権者の数が千人以上であり、かつ、相当と認めるときは、裁判所は、次条第五項本文において準用する同条第三項第一号及び第三十七条本文の規定による知れている再生債権者に対する通知をせず、かつ、第百二条第一項に規定する届出再生債権者を債権者集会(再生計画案の決議をするためのものを除く。)の期日に呼び出さない旨の決定をすることができる。
(再生手続開始の公告等)
第三十五条 裁判所は、再生手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。ただし、第百六十九条の二第一項に規定する社債管理会社等がないときは、第三号に掲げる事項については、公告することを要しない。
一 再生手続開始の決定の主文
二 前条第一項の規定により定めた期間
三 再生債務者が発行した第百六十九条の二第一項に規定する社債等について同項に規定する社債管理会社等がある場合における当該社債等についての再生債権者の議決権は、同項各号のいずれかに該当する場合(同条第三項の場合を除く。)でなければ行使することができない旨
2 前条第二項の決定があったときは、裁判所は、前項各号に掲げる事項のほか、第五項本文において準用する次項第一号及び第三十七条本文の規定による知れている再生債権者に対する通知をせず、かつ、第百二条第一項に規定する届出再生債権者を債権者集会(再生計画案の決議をするためのものを除く。)の期日に呼び出さない旨をも公告しなければならない。
3 次に掲げる者には、前二項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。
一 再生債務者及び知れている再生債権者
二 第五十四条第一項、第六十四条第一項又は第七十九条第一項前段の規定による処分がされた場合における監督委員、管財人又は保全管理人
4 前項の規定にかかわらず、再生債務者がその財産をもって約定劣後再生債権(再生債権者と再生債務者との間において、再生手続開始前に、当該再生債務者について破産手続が開始されたとすれば当該破産手続におけるその配当の順位が破産法 (平成十六年法律第七十五号)第九十九条第一項 に規定する劣後的破産債権に後れる旨の合意がされた債権をいう。以下同じ。)に優先する債権に係る債務を完済することができない状態にあることが明らかであるときは、当該約定劣後再生債権を有する者であって知れているものに対しては、前項の規定による通知をすることを要しない。
5 第一項第二号、第三項第一号及び前項の規定は、前条第一項の規定により定めた再生債権の届出をすべき期間に変更を生じた場合について準用する。ただし、同条第二項の決定があったときは、知れている再生債権者に対しては、当該通知をすることを要しない。
(抗告)
第三十六条 再生手続開始の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
2 第二十六条から第三十条までの規定は、再生手続開始の申立てを棄却する決定に対して前項の即時抗告があった場合について準用する。
(再生手続開始決定の取消し)
第三十七条 再生手続開始の決定をした裁判所は、前条第一項の即時抗告があった場合において、当該決定を取り消す決定が確定したときは、直ちにその主文を公告し、かつ、第三十五条第三項各号に掲げる者(保全管理人及び同条第四項の規定により通知を受けなかった者を除く。)にその主文を通知しなければならない。ただし、第三十四条第二項の決定があったときは、知れている再生債権者に対しては、当該通知をすることを要しない。
(再生債務者の地位)
第三十八条 再生債務者は、再生手続が開始された後も、その業務を遂行し、又はその財産(日本国内にあるかどうかを問わない。
第六十六条及び第八十一条第一項において同じ。)を管理し、若しくは処分する権利を有する。
2 再生手続が開始された場合には、再生債務者は、債権者に対し、公平かつ誠実に、前項の権利を行使し、再生手続を追行する義務を負う。
3 前二項の規定は、第六十四条第一項の規定による処分がされた場合には、適用しない。
(他の手続の中止等)
第三十九条 再生手続開始の決定があったときは、破産手続開始、再生手続開始、整理開始若しくは特別清算開始の申立て、再生債務者の財産に対する再生債権に基づく強制執行等又は再生債権に基づく財産開示手続の申立てはすることができず、破産手続、再生債務者の財産に対して既にされている再生債権に基づく強制執行等の手続及び再生債権に基づく財産開示手続は中止し、整理手続及び特別清算手続はその効力を失う。
2 裁判所は、再生に支障を来さないと認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、前項の規定により中止した再生債権に基づく強制執行等の手続の続行を命ずることができ、再生のため必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、中止した再生債権に基づく強制執行等の手続の取消しを命ずることができる。
3 再生手続開始の決定があったときは、次に掲げる請求権は、共益債権とする。
一 第一項の規定により中止した破産手続における財団債権(破産法第百四十八条第一項第三号 に掲げる請求権を除き、破産手続が開始されなかった場合における同法第五十五条第二項 及び第百四十八条第四項 に規定する請求権を含む。)
二 第一項の規定により効力を失った手続のために再生債務者に対して生じた債権及びその手続に関する再生債務者に対する費用請求権
三 前項の規定により続行された手続に関する再生債務者に対する費用請求権
4 再生手続開始の決定があったときは、再生手続が終了するまでの間(再生計画認可の決定が確定したときは、第百八十一条第二項に規定する再生計画で定められた弁済期間が満了する時(その期間の満了前に再生計画に基づく弁済が完了した場合又は再生計画が取り消された場合にあっては弁済が完了した時又は再生計画が取り消された時)までの間)は、罰金、科料及び追徴の時効は、進行しない。ただし、当該罰金、科料又は追徴に係る請求権が共益債権である場合は、この限りでない。
(訴訟手続の中断等)
第四十条 再生手続開始の決定があったときは、再生債務者の財産関係の訴訟手続のうち再生債権に関するものは、中断する。
2 前項に規定する訴訟手続について、第百七条第一項、第百九条第二項(第百十三条第二項後段において準用する場合を含む。)又は第二百十三条第五項(第二百十九条第二項において準用する場合を含む。)の規定による受継があるまでに再生手続が終了したときは、再生債務者は、当然訴訟手続を受継する。
3 前二項の規定は、再生債務者の財産関係の事件のうち再生債権に関するものであって、再生手続開始当時行政庁に係属するものについて準用する。
(債権者代位訴訟等の取扱い)
第四十条の二 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第四百二十三条 若しくは第四百二十四条 の規定により再生債権者の提起した訴訟又は破産法 の規定による否認の訴訟若しくは否認の請求を認容する決定に対する異議の訴訟が再生手続開始当時係属するときは、その訴訟手続は、中断する。
2 再生債務者等は、前項の規定により中断した訴訟手続のうち、民法第四百二十三条 の規定により再生債権者の提起した訴訟に係るものを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
3 前項の場合においては、相手方の再生債権者に対する訴訟費用請求権は、共益債権とする。
4 第二項に規定する訴訟手続について同項の規定による受継があった後に再生手続が終了したときは、第六十八条第四項において準用する同条第二項の規定により中断している場合を除き、当該訴訟手続は中断する。
5 前項の場合には、再生債権者において当該訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
6 第二項に規定する訴訟手続が第六十八条第四項において準用する同条第二項の規定により中断した後に再生手続が終了した場合には、同条第四項において準用する同条第三項の規定にかかわらず、再生債権者において当該訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
7 第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項又は第百四十条第一項の規定による受継があるまでに再生手続が終了したときは、再生債権者又は破産管財人は、当該訴訟手続を当然受継する。
(再生債務者等の行為の制限)
第四十一条 裁判所は、再生手続開始後において、必要があると認めるときは、再生債務者等が次に掲げる行為をするには裁判所の許可を得なければならないものとすることができる。
一 財産の処分
二 財産の譲受け
三 借財
四 第四十九条第一項の規定による契約の解除
五 訴えの提起
六 和解又は仲裁合意
七 権利の放棄
八 共益債権、一般優先債権又は第五十二条に規定する取戻権の承認
九 別除権の目的である財産の受戻し
十 その他裁判所の指定する行為
2 前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
(営業等の譲渡)
第四十二条 再生手続開始後において、再生債務者等が再生債務者の営業又は事業の全部又は重要な一部の譲渡をするには、裁判所の許可を得なければならない。この場合において、裁判所は、当該再生債務者の事業の再生のために必要であると認める場合に限り、許可をすることができる。
2 裁判所は、前項の許可をする場合には、知れている再生債権者(再生債務者が再生手続開始の時においてその財産をもって約定劣後再生債権に優先する債権に係る債務を完済することができない状態にある場合における当該約定劣後再生債権を有する者を除く。)の意見を聴かなければならない。ただし、第百十七条第二項に規定する債権者委員会があるときは、その意見を聴けば足りる。
3 裁判所は、第一項の許可をする場合には、労働組合等の意見を聴かなければならない。
4 前条第二項の規定は、第一項の許可を得ないでした行為について準用する。
(営業の譲渡に関する株主総会の決議に代わる許可)
第四十三条 再生手続開始後において、株式会社である再生債務者がその財産をもって債務を完済することができないときは、裁判所は、再生債務者等の申立てにより、当該再生債務者の営業の全部又は重要な一部の譲渡について商法第二百四十五条第一項 に規定する株主総会の決議に代わる許可を与えることができる。ただし、当該営業の全部又は重要な一部の譲渡が事業の継続のために必要である場合に限る。
2 前項の許可(以下この条において「代替許可」という。)の決定があった場合には、その裁判書を再生債務者等に、その決定の要旨を記載した書面を株主に、それぞれ送達しなければならない。
3 代替許可の決定は、前項の規定による再生債務者等に対する送達がされた時から、効力を生ずる。
4 第二項の規定による株主に対する送達は、株主名簿に記載され、若しくは記録された住所又は株主が再生債務者に通知した住所にあてて、書類を通常の取扱いによる郵便に付し、又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第六項 に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項 に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項 に規定する信書便の役務を利用して送付する方法によりすることができる。
5 前項の規定による送達をした場合には、その郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律第二条第三項 に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)が通常到達すべきであった時に、送達があったものとみなす。
6 代替許可の決定に対しては、株主は、即時抗告をすることができる。
7 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
(開始後の権利取得)
第四十四条 再生手続開始後、再生債権につき再生債務者財産に関して再生債務者(管財人が選任されている場合にあっては、管財人又は再生債務者)の行為によらないで権利を取得しても、再生債権者は、再生手続の関係においては、その効力を主張することができない。
2 再生手続開始の日に取得した権利は、再生手続開始後に取得したものと推定する。
(開始後の登記及び登録)
第四十五条 不動産又は船舶に関し再生手続開始前に生じた登記原因に基づき再生手続開始後にされた登記又は不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)第百五条第一号 の規定による仮登記は、再生手続の関係においては、その効力を主張することができない。ただし、登記権利者が再生手続開始の事実を知らないでした登記又は仮登記については、この限りでない。
2 前項の規定は、権利の設定、移転若しくは変更に関する登録若しくは仮登録又は企業担保権の設定、移転若しくは変更に関する登記について準用する。
(開始後の手形の引受け等)
第四十六条 為替手形の振出人又は裏書人である再生債務者について再生手続が開始された場合において、支払人又は予備支払人がその事実を知らないで引受け又は支払をしたときは、その支払人又は予備支払人は、これによって生じた債権につき、再生債権者としてその権利を行うことができる。
2 前項の規定は、小切手及び金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする有価証券について準用する。
(善意又は悪意の推定)
第四十七条 前二条の規定の適用については、第三十五条第一項の規定による公告(以下「再生手続開始の公告」という。)前においてはその事実を知らなかったものと推定し、再生手続開始の公告後においてはその事実を知っていたものと推定する。
(共有関係)
第四十八条 再生債務者が他人と共同して財産権を有する場合において、再生手続が開始されたときは、再生債務者等は、共有者の間で分割をしない定めがあるときでも、分割の請求をすることができる。
2 前項の場合には、他の共有者は、相当の償金を支払って再生債務者の持分を取得することができる。
(双務契約)
第四十九条 双務契約について再生債務者及びその相手方が再生手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、再生債務者等は、契約の解除をし、又は再生債務者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
2 前項の場合には、相手方は、再生債務者等に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、再生債務者等がその期間内に確答をしないときは、同項の規定による解除権を放棄したものとみなす。
3 前二項の規定は、労働協約には、適用しない。
4 第一項の規定により再生債務者の債務の履行をする場合において、相手方が有する請求権は、共益債権とする。
5 破産法第五十四条 の規定は、第一項の規定による契約の解除があった場合について準用する。この場合において、同条第一項 中「破産債権者」とあるのは「再生債権者」と、同条第二項 中「破産者」とあるのは「再生債務者」と、「破産財団」とあるのは「再生債務者財産」と、「財団債権者」とあるのは「共益債権者」と読み替えるものとする。
(継続的給付を目的とする双務契約)
第五十条 再生債務者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、再生手続開始の申立て前の給付に係る再生債権について弁済がないことを理由としては、再生手続開始後は、その義務の履行を拒むことができない。
2 前項の双務契約の相手方が再生手続開始の申立て後再生手続開始前にした給付に係る請求権(一定期間ごとに債権額を算定すべき継続的給付については、申立ての日の属する期間内の給付に係る請求権を含む。)は、共益債権とする。
3 前二項の規定は、労働契約には、適用しない。
(双務契約についての破産法 の準用)
第五十一条 破産法第五十六条 、第五十八条及び第五十九条の規定は、再生手続が開始された場合について準用する。この場合において、同法第五十六条第一項 中「第五十三条第一項 及び第二項 」とあるのは「民事再生法第四十九条第一項及び第二項」と、「破産者」とあるのは「再生債務者」と、同条第二項中「財団債権」とあるのは「共益債権」と、同法第五十八条第一項中「破産手続開始」とあるのは「再生手続開始」と、同条第三項において準用する同法第五十四条第一項中「破産債権者」とあるのは「再生債権者」と、同法第五十九条第一項中「破産手続」とあるのは「再生手続」と、同条第二項中「請求権は、破産者が有するときは破産財団に属し」とあるのは「請求権は」と、「破産債権」とあるのは「再生債権」と読み替えるものとする。
(取戻権)
第五十二条 再生手続の開始は、再生債務者に属しない財産を再生債務者から取り戻す権利に影響を及ぼさない。
2 破産法第六十三条 及び第六十四条 の規定は、再生手続が開始された場合について準用する。この場合において、同法第六十三条第一項 中「破産手続開始の決定」とあるのは「再生手続開始の決定」と、同項 ただし書及び同法第六十四条 中「破産管財人」とあるのは「再生債務者(管財人が選任されている場合にあっては、管財人)」と、同法第六十三条第二項 中「第五十三条第一項 及び第二項 」とあるのは「民事再生法第四十九条第一項及び第二項」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「前二項」と、「同項」とあるのは「第一項」と、同法第六十四条第一項中「破産者」とあるのは「再生債務者」と、「破産手続開始」とあるのは「再生手続開始」と読み替えるものとする。
(別除権)
第五十三条 再生手続開始の時において再生債務者の財産につき存する担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法 の規定による留置権をいう。第三項において同じ。)を有する者は、その目的である財産について、別除権を有する。
2 別除権は、再生手続によらないで、行使することができる。
3 担保権の目的である財産が再生債務者等による任意売却その他の事由により再生債務者財産に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。
第三章 再生手続の機関
第一節 監督委員
(監督命令)
第五十四条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、監督委員による監督を命ずる処分をすることができる。
2 裁判所は、前項の処分(以下「監督命令」という。)をする場合には、当該監督命令において、一人又は数人の監督委員を選任し、かつ、その同意を得なければ再生債務者がすることができない行為を指定しなければならない。
3 法人は、監督委員となることができる。
4 第二項に規定する監督委員の同意を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
5 裁判所は、監督命令を変更し、又は取り消すことができる。
6 監督命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
7 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
(監督命令に関する公告及び送達)
第五十五条 裁判所は、監督命令を発したときは、その旨を公告しなければならない。
監督命令を変更し、又は取り消す旨の決定があった場合も、同様とする。
2 監督命令、前条第五項の規定による決定及び同条第六項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
3 第十条第四項の規定は、第一項の場合については、適用しない。
(否認に関する権限の付与)
第五十六条 再生手続開始の決定があった場合には、裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、監督委員に対して、特定の行為について否認権を行使する権限を付与することができる。
2 監督委員は、前項の規定により権限を付与された場合には、当該権限の行使に関し必要な範囲内で、再生債務者のために、金銭の収支その他の財産の管理及び処分をすることができる。
3 第七十七条第一項から第三項までの規定は、前項の監督委員について準用する。この場合において、同条第二項中「後任の管財人」とあるのは「後任の監督委員であって第五十六条第一項の規定により否認権を行使する権限を付与されたもの又は管財人」と、同条第三項中「後任の管財人」とあるのは「後任の監督委員であって第五十六条第一項の規定により否認権を行使する権限を付与されたもの、管財人」と読み替えるものとする。
4 裁判所は、第一項の規定による決定を変更し、又は取り消すことができる。
5 裁判所は、必要があると認めるときは、第一項の規定により権限を付与された監督委員が訴えの提起、和解その他裁判所の指定する行為をするには裁判所の許可を得なければならないものとすることができる。
6 第四十一条第二項の規定は、監督委員が前項の許可を得ないでした行為について準用する。
(監督委員に対する監督等)
第五十七条 監督委員は、裁判所が監督する。
2 裁判所は、監督委員が再生債務者の業務及び財産の管理の監督を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、監督委員を解任することができる。この場合においては、その監督委員を審尋しなければならない。
(数人の監督委員の職務執行)
第五十八条 監督委員が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
(監督委員による調査等)
第五十九条 監督委員は、次に掲げる者に対して再生債務者の業務及び財産の状況につき報告を求め、再生債務者の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
一 再生債務者
二 再生債務者の代理人
三 再生債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役及び清算人
四 前号に掲げる者に準ずる者
五 再生債務者の従業者(第二号に掲げる者を除く。)
2 前項の規定は、同項各号(第一号を除く。)に掲げる者であった者について準用する。
3 監督委員は、その職務を行うため必要があるときは、再生債務者の子会社(再生債務者が株式会社の総株主の議決権の過半数又は有限会社の総社員の議決権を有する場合における当該株式会社又は有限会社をいう。次項において同じ。)に対して、その業務及び財産の状況につき説明を求め、又はその帳簿、書類その他の物件を検査することができる。再生債務者が商法特例法第一条の二第一項 に規定する大会社である場合における当該再生債務者の同条第四項 に規定する連結子会社に対しても、同様とする。
4 再生債務者の子会社又は再生債務者及びその子会社が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には、前項の規定の適用については、当該他の株式会社を当該再生債務者の子会社とみなす。再生債務者の子会社又は再生債務者及びその子会社が他の有限会社の総社員の議決権の過半数を有する場合も、同様とする。
(監督委員の注意義務)
第六十条 監督委員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならない。
2 監督委員が前項の注意を怠ったときは、その監督委員は、利害関係人に対し、連帯して損害を賠償する責めに任ずる。
(監督委員の報酬等)
第六十一条 監督委員は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。
2 監督委員は、その選任後、再生債務者に対する債権又は再生債務者の株式その他の再生債務者に対する出資による持分を譲り受け、又は譲り渡すには、裁判所の許可を得なければならない。
3 監督委員は、前項の許可を得ないで同項に規定する行為をしたときは、費用及び報酬の支払を受けることができない。
4 第一項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第二節 調査委員
(調査命令)
第六十二条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、調査委員による調査を命ずる処分をすることができる。
2 裁判所は、前項の処分(以下「調査命令」という。)をする場合には、当該調査命令において、一人又は数人の調査委員を選任し、かつ、調査委員が調査すべき事項及び裁判所に対して調査の結果の報告をすべき期間を定めなければならない。
3 裁判所は、調査命令を変更し、又は取り消すことができる。
4 調査命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
5 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
6 第四項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
(監督委員に関する規定の準用)
第六十三条 第五十四条第三項、第五十七条、第五十八条本文及び第五十九条から第六十一条までの規定は、調査委員について準用する。
第三節 管財人
(管理命令)
第六十四条 裁判所は、再生債務者(法人である場合に限る。以下この項において同じ。)の財産の管理又は処分が失当であるとき、その他再生債務者の事業の再生のために特に必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続の開始の決定と同時に又はその決定後、再生債務者の業務及び財産に関し、管財人による管理を命ずる処分をすることができる。
2 裁判所は、前項の処分(以下「管理命令」という。)をする場合には、当該管理命令において、一人又は数人の管財人を選任しなければならない。
3 裁判所が管理命令を発しようとする場合には、再生債務者を審尋しなければならない。ただし、急迫の事情があるときは、この限りでない。
4 裁判所は、管理命令を変更し、又は取り消すことができる。
5 管理命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
(管理命令に関する公告及び送達)
第六十五条 裁判所は、管理命令を発したときは、次項に規定する場合を除き、次に掲げる事項を公告しなければならない。
一 管理命令を発した旨及び管財人の氏名又は名称
二 再生債務者の財産の所持者及び再生債務者に対して債務を負担する者(第五項において「財産所持者等」という。)は、再生債務者にその財産を交付し、又は弁済をしてはならない旨
2 裁判所は、再生手続開始の決定と同時に管理命令を発したときは、再生手続開始の公告には、前項に掲げる事項をも掲げなければならない。
3 裁判所は、管理命令を変更し、又は取り消す旨の決定をした場合には、その旨を公告しなければならない。
4 管理命令、前項の決定又は前条第五項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
5 管理命令が発せられた場合には第一項に掲げる事項を、第三項の決定があった場合又は管理命令が発せられた後に再生手続開始の決定を取り消す決定が確定した場合にはその旨を、知れている財産所持者等に通知しなければならない。
6 第十条第四項の規定は、第一項の場合については、適用しない。
(管財人の権限)
第六十六条 管理命令が発せられた場合には、再生債務者の業務の遂行並びに財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した管財人に専属する。
(管理命令が発せられた場合の再生債務者の財産関係の訴えの取扱い)
第六十七条 管理命令が発せられた場合には、再生債務者の財産関係の訴えについては、管財人を原告又は被告とする。
2 管理命令が発せられた場合には、再生債務者の財産関係の訴訟手続で再生債務者が当事者であるものは、中断する。第百四十五条第一項の訴えに係る訴訟手続で再生債権者が当事者であるものについても、同様とする。
3 前項の規定により中断した訴訟手続のうち再生債権に関しないもの(第四十条の二第二項に規定するもので同項の規定により受継されたものを除く。)は、管財人においてこれを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
4 第二項の規定により中断した訴訟手続のうち、再生債権に関するもので第百六条第一項、第百九条第一項若しくは第百十三条第二項前段の規定により提起され、若しくは第百七条第一項若しくは第百九条第二項(第百十三条第二項後段において準用する場合を含む。)の規定により受継されたもの又は第四十条の二第二項に規定するもので同項の規定により受継されたものは、管財人においてこれを受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
5 前二項の場合においては、相手方の再生債務者又は第二項後段の再生債権者に対する訴訟費用請求権は、共益債権とする。
第六十八条 前条第二項の規定により中断した訴訟手続について同条第三項又は第四項の規定による受継があるまでに再生手続が終了したときは、再生債務者は、当該訴訟手続(第四十条の二第二項に規定するもので同条第三項の規定により中断するものを除く。次項において同じ。)を当然受継する。
2 再生手続が終了したときは、管財人を当事者とする再生債務者の財産関係の訴訟手続は、中断する。
3 再生債務者は、前項の規定により中断した訴訟手続(再生計画不認可、再生手続廃止又は再生計画取消しの決定の確定により再生手続が終了した場合における第百三十七条第一項の訴えに係るものを除く。)を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
4 第一項の規定は前条第三項又は第四項の規定による受継があるまでに管理命令を取り消す旨の決定が確定した場合について、前二項の規定は管理命令を取り消す旨の決定が確定した場合について準用する。この場合において、第一項中「前条第二項」とあるのは「前条第二項前段」と、「訴訟手続(第四十条の二第二項に規定するもので同条第三項の規定により中断するものを除く。次項において同じ。)」とあるのは「訴訟手続」と読み替えるものとする。
5 第三項の規定は、前条第三項の規定による受継があるまでに管理命令を取り消す旨の決定が確定した場合における同条第二項後段の規定により中断した訴訟手続について準用する。この場合において、第三項中「再生債務者」とあるのは、「前条第二項後段の再生債権者」と読み替えるものとする。
(行政庁に係属する事件の取扱い)
第六十九条 第六十七条第二項から第五項まで及び前条の規定は、再生債務者の財産関係の事件で管理命令が発せられた当時行政庁に係属するものについて準用する。
(数人の管財人の職務執行)
第七十条 管財人が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
2 管財人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
(管財人代理)
第七十一条 管財人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人又は数人の管財人代理を選任することができる。
2 前項の管財人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。
(再生債務者の業務及び財産の管理)
第七十二条 管財人は、就職の後直ちに再生債務者の業務及び財産の管理に着手しなければならない。
(郵便物等の管理)
第七十三条 裁判所は、管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、再生債務者にあてた郵便物等を管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。
2 裁判所は、再生債務者の申立てにより又は職権で、管財人の意見を聴いて、前項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。
3 再生手続が終了したときは、裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。管理命令が取り消されたときも、同様とする。
4 第一項又は第二項の規定による決定及び同項の申立てを却下する裁判に対しては、再生債務者又は管財人は、即時抗告をすることができる。
5 第一項の規定による決定に対する前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第七十四条 管財人は、再生債務者にあてた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。
2 再生債務者は、管財人に対し、管財人が受け取った前項の郵便物等の閲覧又は当該郵便物等で再生債務者財産に関しないものの交付を求めることができる。
(管財人の行為に対する制限)
第七十五条 管財人は、裁判所の許可を得なければ、再生債務者の財産を譲り受け、再生債務者に対し自己の財産を譲り渡し、その他自己又は第三者のために再生債務者と取引をすることができない。
2 前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
(管理命令後の再生債務者の行為等)
第七十六条 再生債務者が管理命令が発せられた後に再生債務者財産に関してした法律行為は、再生手続の関係においては、その効力を主張することができない。ただし、相手方がその行為の当時管理命令が発せられた事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 管理命令が発せられた後に、その事実を知らないで再生債務者にした弁済は、再生手続の関係においても、その効力を主張することができる。
3 管理命令が発せられた後に、その事実を知って再生債務者にした弁済は、再生債務者財産が受けた利益の限度においてのみ、再生手続の関係において、その効力を主張することができる。
4 第四十七条の規定は、前三項の規定の適用について準用する。この場合において、「第三十五条第一項の規定による公告(以下「再生手続開始の公告」という。)」とあるのは「第六十五条第一項の規定による公告(再生手続開始の決定と同時に管理命令が発せられた場合には、第三十五条第一項の規定による公告)」と読み替えるものとする。
(取締役等の報酬)
第七十六条の二 管理命令が発せられた場合における再生債務者が法人であるときのその理事、取締役、執行役、監事、監査役、清算人又はこれらに準ずる者は、再生債務者に対して報酬を請求することができない。
(任務終了の場合の報告義務等)
第七十七条 管財人の任務が終了した場合には、管財人は、遅滞なく、裁判所に計算の報告をしなければならない。
2 前項の場合において、管財人が欠けたときは、同項の計算の報告は、同項の規定にかかわらず、後任の管財人がしなければならない。
3 管財人の任務が終了した場合において、急迫の事情があるときは、管財人又はその承継人は、後任の管財人又は再生債務者が財産を管理することができるに至るまで必要な処分をしなければならない。
4 再生手続開始の決定を取り消す決定、再生手続廃止の決定若しくは再生計画不認可の決定が確定した場合又は再生手続終了前に再生計画取消しの決定が確定した場合には、第二百五十二条第六項に規定する場合を除き、管財人は、共益債権及び一般優先債権を弁済し、これらの債権のうち異議のあるものについては、その債権を有する者のために供託をしなければならない。
(監督委員に関する規定の準用)
第七十八条 第五十四条第三項、第五十七条及び第五十九条から第六十一条までの規定は管財人について、同条の規定は管財人代理について準用する。
第四節 保全管理人
(保全管理命令)
第七十九条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、再生債務者(法人である場合に限る。以下この節において同じ。)の財産の管理又は処分が失当であるとき、その他再生債務者の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、再生債務者の業務及び財産に関し、保全管理人による管理を命ずる処分をすることができる。この場合においては、第六十四条第三項の規定を準用する。
2 裁判所は、前項の処分(以下「保全管理命令」という。)をする場合には、当該保全管理命令において、一人又は数人の保全管理人を選任しなければならない。
3 前二項の規定は、再生手続開始の申立てを棄却する決定に対して第三十六条第一項の即時抗告があった場合について準用する。
4 裁判所は、保全管理命令を変更し、又は取り消すことができる。
5 保全管理命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
(保全管理命令に関する公告及び送達)
第八十条 裁判所は、保全管理命令を発したときは、その旨を公告しなければならない。保全管理命令を変更し、又は取り消す旨の決定があった場合も、同様とする。
2 保全管理命令、前条第四項の規定による決定及び同条第五項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
3 第十条第四項の規定は、第一項の場合については、適用しない。
(保全管理人の権限)
第八十一条 保全管理命令が発せられたときは、再生債務者の業務の遂行並びに財産の管理及び処分をする権利は、保全管理人に専属する。
ただし、保全管理人が再生債務者の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
2 前項ただし書の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
3 第四十一条の規定は、保全管理人について準用する。
(保全管理人代理)
第八十二条 保全管理人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人又は数人の保全管理人代理を選任することができる。
2 前項の保全管理人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。
(監督委員に関する規定等の保全管理人等への準用)
第八十三条 第五十四条第三項、第五十七条、第五十九条から第六十一条まで、第六十七条第一項、第七十条、第七十二条、第七十四条から第七十六条まで及び第七十七条第一項から第三項までの規定は保全管理人について、第六十一条の規定は保全管理人代理について準用する。この場合において、第七十六条第四項後段中「第六十五条第一項の規定による公告(再生手続開始の決定と同時に管理命令が発せられた場合には、第三十五条第一項の規定による公告)」とあるのは「第八十条第一項の規定による公告」と、第七十七条第二項中「後任の管財人」とあるのは「後任の保全管理人」と、同条第三項中「後任の管財人」とあるのは「後任の保全管理人、管財人」と読み替えるものとする。
2 第六十七条第二項、第三項及び第五項の規定は保全管理命令が発せられた場合について、第六十八条第一項から第三項までの規定は保全管理命令が効力を失った場合について準用する。
3 第六十七条第二項、第三項及び第五項並びに第六十八条第一項から第三項までの規定は、再生債務者の財産関係の事件で保全管理命令が発せられた当時行政庁に係属するものについて準用する。この場合において、第六十八条第一項及び第二項中「再生手続が終了したとき」とあるのは「保全管理命令が効力を失ったとき」と読み替えるものとする。
4 第七十六条の二の規定は、保全管理命令が発せられた場合における再生債務者が法人であるときのその理事、取締役、執行役、監事、監査役、清算人又はこれらに準ずる者について準用する。
第四章 再生債権
第一節 再生債権者の権利
(再生債権となる請求権)
第八十四条 再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権又は一般優先債権であるものを除く。次項において同じ。)は、再生債権とする。
2 次に掲げる請求権も、再生債権とする。
一 再生手続開始後の利息の請求権
二 再生手続開始後の不履行による損害賠償及び違約金の請求権
三 再生手続参加の費用の請求権
(再生債権の弁済の禁止)
第八十五条 再生債権については、再生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。
2 再生債務者を主要な取引先とする中小企業者が、その有する再生債権の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができる。
3 裁判所は、前項の規定による許可をする場合には、再生債務者と同項の中小企業者との取引の状況、再生債務者の資産状態、利害関係人の利害その他一切の事情を考慮しなければならない。
4 再生債務者等は、再生債権者から第二項の申立てをすべきことを求められたときは、直ちにその旨を裁判所に報告しなければならない。この場合において、その申立てをしないこととしたときは、遅滞なく、その事情を裁判所に報告しなければならない。
5 少額の再生債権を早期に弁済することにより再生手続を円滑に進行することができるとき、又は少額の再生債権を早期に弁済しなければ再生債務者の事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。
6 第二項から前項までの規定は、約定劣後再生債権である再生債権については、適用しない。
(再生債務者等による相殺)
第八十五条の二 再生債務者等は、再生債務者財産に属する債権をもって再生債権と相殺することが再生債権者の一般の利益に適合するときは、裁判所の許可を得て、その相殺をすることができる。
(再生債権者の手続参加)
第八十六条 再生債権者は、その有する再生債権をもって再生手続に参加することができる。
2 破産法第百四条 から第百七条 までの規定は、再生手続が開始された場合における再生債権者の権利の行使について準用する。この場合において、同法第百四条 から第百七条 までの規定中「破産手続開始」とあるのは「再生手続開始」と、同法第百四条第一項 、第三項及び第四項、第百五条、第百六条並びに第百七条第一項中「破産手続に」とあるのは「再生手続に」と、同法第百四条第三項 から第五項 までの規定中「破産者」とあるのは「再生債務者」と、同条第四項 中「破産債権者」とあるのは「再生債権者」と読み替えるものとする。
(再生債権者の議決権)
第八十七条 再生債権者は、次に掲げる債権の区分に従い、それぞれ当該各号に定める金額に応じて、議決権を有する。
一 再生手続開始後に期限が到来すべき確定期限付債権で無利息のもの 再生手続開始の時から期限に至るまでの期間の年数(その期間に一年に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。)に応じた債権に対する法定利息を債権額から控除した額
二 金額及び存続期間が確定している定期金債権 各定期金につき前号の規定に準じて算定される額の合計額(その額が法定利率によりその定期金に相当する利息を生ずべき元本額を超えるときは、その元本額)
三 次に掲げる債権 再生手続開始の時における評価額
イ 再生手続開始後に期限が到来すべき不確定期限付債権で無利息のもの
ロ 金額又は存続期間が不確定である定期金債権
ハ 金銭の支払を目的としない債権
ニ 金銭債権で、その額が不確定であるもの又はその額を外国の通貨をもって定めたもの
ホ 条件付債権
ヘ 再生債務者に対して行うことがある将来の請求権
四 前三号に掲げる債権以外の債権 債権額
2 前項の規定にかかわらず、再生債権者は、第八十四条第二項に掲げる請求権及び第九十七条に規定する再生手続開始前の罰金等については、議決権を有しない。
3 第一項の規定にかかわらず、再生債務者が再生手続開始の時においてその財産をもって約定劣後再生債権に優先する債権に係る債務を完済することができない状態にあるときは、当該約定劣後再生債権を有する者は、議決権を有しない。
(別除権者の手続参加)
第八十八条 別除権者は、当該別除権に係る第五十三条第一項に規定する担保権によって担保される債権については、その別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分についてのみ、再生債権者として、その権利を行うことができる。ただし、当該担保権によって担保される債権の全部又は一部が再生手続開始後に担保されないこととなった場合には、その債権の当該全部又は一部について、再生債権者として、その権利を行うことを妨げない。
(再生債権者が外国で受けた弁済)
第八十九条 再生債権者は、再生手続開始の決定があった後に、再生債務者の財産で外国にあるものに対して権利を行使したことにより、再生債権について弁済を受けた場合であっても、その弁済を受ける前の債権の全部をもって再生手続に参加することができる。
2 前項の再生債権者は、他の再生債権者(同項の再生債権者が約定劣後再生債権を有する者である場合にあっては、他の約定劣後再生債権を有する者)が自己の受けた弁済と同一の割合の弁済を受けるまでは、再生手続により、弁済を受けることができない。
3 第一項の再生債権者は、外国において弁済を受けた債権の部分については、議決権を行使することができない。
(代理委員)
第九十条 再生債権者は、裁判所の許可を得て、共同して又は各別に、一人又は数人の代理委員を選任することができる。
2 裁判所は、再生手続の円滑な進行を図るために必要があると認めるときは、再生債権者に対し、相当の期間を定めて、代理委員の選任を勧告することができる。
3 代理委員は、これを選任した再生債権者のために、再生手続に属する一切の行為をすることができる。
4 代理委員が数人あるときは、共同してその権限を行使する。ただし、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
5 裁判所は、代理委員の権限の行使が著しく不公正であると認めるときは、第一項の許可の決定又は次条第一項の選任の決定を取り消すことができる。
6 再生債権者は、いつでも、その選任した代理委員を解任することができる。
(裁判所による代理委員の選任)
第九十条の二 裁判所は、共同の利益を有する再生債権者が著しく多数である場合において、これらの者のうちに前条第二項の規定による勧告を受けたにもかかわらず同項の期間内に代理委員を選任しない者があり、かつ、代理委員の選任がなければ再生手続の進行に支障があると認めるときは、その者のために、相当と認める者を代理委員に選任することができる。
2 前項の規定により代理委員を選任するには、当該代理委員の同意を得なければならない。
3 第一項の規定により代理委員が選任された場合には、当該代理委員は、本人(その者のために同項の規定により代理委員が選任された者をいう。第六項において同じ。)が前条第一項の規定により選任したものとみなす。
4 第一項の規定により選任された代理委員は、正当な理由があるときは、裁判所の許可を得て辞任することができる。
5 第一項の規定により選任された代理委員は、再生債務者財産から、次に掲げるものの支払を受けることができる。
一 前条第三項に規定する行為をするために必要な費用について、その前払又は支出額の償還
二 裁判所が相当と認める額の報酬
6 第一項の規定により代理委員が選任された場合における当該代理委員と本人との間の関係については、民法第六百四十四条 から第六百四十七条 まで及び第六百五十四条 の規定を準用する。
(報償金等)
第九十一条 裁判所は、再生債権者若しくは代理委員又はこれらの者の代理人が再生債務者の再生に貢献したと認められるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、再生債務者等が、再生債務者財産から、これらの者に対し、その事務処理に要した費用を償還し、又は報償金を支払うことを許可することができる。
2 前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
(相殺権)
第九十二条 再生債権者が再生手続開始当時再生債務者に対して債務を負担する場合において、債権及び債務の双方が第九十四条第一項に規定する債権届出期間の満了前に相殺に適するようになったときは、再生債権者は、当該債権届出期間内に限り、再生計画の定めるところによらないで、相殺をすることができる。債務が期限付であるときも、同様とする。
2 再生債権者が再生手続開始当時再生債務者に対して負担する債務が賃料債務である場合には、再生債権者は、再生手続開始後にその弁済期が到来すべき賃料債務(前項の債権届出期間の満了後にその弁済期が到来すべきものを含む。次項において同じ。)については、再生手続開始の時における賃料の六月分に相当する額を限度として、前項の債権届出期間内に限り、再生計画の定めるところによらないで、相殺をすることができる。
3 前項に規定する場合において、再生債権者が、再生手続開始後にその弁済期が到来すべき賃料債務について、再生手続開始後その弁済期に弁済をしたときは、再生債権者が有する敷金の返還請求権は、再生手続開始の時における賃料の六月分に相当する額(同項の規定により相殺をする場合には、相殺により免れる賃料債務の額を控除した額)の範囲内におけるその弁済額を限度として、共益債権とする。
4 前二項の規定は、地代又は小作料の支払を目的とする債務について準用する。
(相殺の禁止)
第九十三条 再生債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
一 再生手続開始後に再生債務者に対して債務を負担したとき。
二 支払不能(再生債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。以下同じ。)になった後に契約によって負担する債務を専ら再生債権をもってする相殺に供する目的で再生債務者の財産の処分を内容とする契約を再生債務者との間で締結し、又は再生債務者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより再生債務者に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
三 支払の停止があった後に再生債務者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
四 再生手続開始、破産手続開始、整理開始又は特別清算開始の申立て(以下この条及び次条において「再生手続開始の申立て等」という。)があった後に再生債務者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、再生手続開始の申立て等があったことを知っていたとき。
2 前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
一 法定の原因
二 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは再生手続開始の申立て等があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因
三 再生手続開始の申立て等があった時より一年以上前に生じた原因
第九十三条の二 再生債務者に対して債務を負担する者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
一 再生手続開始後に他人の再生債権を取得したとき。
二 支払不能になった後に再生債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
三 支払の停止があった後に再生債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
四 再生手続開始の申立て等があった後に再生債権を取得した場合であって、その取得の当時、再生手続開始の申立て等があったことを知っていたとき。
2 前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する再生債権の取得が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
一 法定の原因
二 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは再生手続開始の申立て等があったことを再生債務者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因
三 再生手続開始の申立て等があった時より一年以上前に生じた原因
四 再生債務者に対して債務を負担する者と再生債務者との間の契約
第二節 再生債権の届出
(届出)
第九十四条 再生手続に参加しようとする再生債権者は、第三十四条第一項の規定により定められた再生債権の届出をすべき期間(以下「債権届出期間」という。)内に、各債権について、その内容及び原因、約定劣後再生債権であるときはその旨、議決権の額その他最高裁判所規則で定める事項を裁判所に届け出なければならない。
2 別除権者は、前項に規定する事項のほか、別除権の目的である財産及び別除権の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる債権の額を届け出なければならない。
(届出の追完等)
第九十五条 再生債権者がその責めに帰することができない事由によって債権届出期間内に届出をすることができなかった場合には、その事由が消滅した後一月以内に限り、その届出の追完をすることができる。
2 前項に定める届出の追完の期間は、伸長し、又は短縮することができない。
3 債権届出期間経過後に生じた再生債権については、その権利の発生した後一月の不変期間内に、届出をしなければならない。
4 第一項及び第三項の届出は、再生計画案を決議に付する旨の決定がされた後は、することができない。
5 第一項、第二項及び前項の規定は、再生債権者が、その責めに帰することができない事由によって、届け出た事項について他の再生債権者の利益を害すべき変更を加える場合について準用する。
(届出名義の変更)
第九十六条 届出をした再生債権を取得した者は、債権届出期間が経過した後でも、届出名義の変更を受けることができる。第百一条第三項の規定により認否書に記載された再生債権を取得した者についても、同様とする。
(罰金、科料等の届出)
第九十七条 再生手続開始前の罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金又は過料(共益債権又は一般優先債権であるものを除く。以下「再生手続開始前の罰金等」という。)については、国又は地方公共団体は、遅滞なく、その額及び原因を裁判所に届け出なければならない。
第九十八条 削除
第三節 再生債権の調査及び確定
(再生債権者表の作成等)
第九十九条 裁判所書記官は、届出があった再生債権及び第百一条第三項の規定により再生債務者等が認否書に記載した再生債権について、再生債権者表を作成しなければならない。
2 前項の再生債権者表には、各債権について、その内容(約定劣後再生債権であるかどうかの別を含む。以下この節において同じ。)及び原因、議決権の額、第九十四条第二項に規定する債権の額その他最高裁判所規則で定める事項を記載しなければならない。
3 再生債権者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができる。
(再生債権の調査)
第百条 裁判所による再生債権の調査は、前条第二項に規定する事項について、再生債務者等が作成した認否書並びに再生債権者及び再生債務者(管財人が選任されている場合に限る。)の書面による異議に基づいてする。
(認否書の作成及び提出)
第百一条 再生債務者等は、債権届出期間内に届出があった再生債権について、その内容及び議決権についての認否を記載した認否書を作成しなければならない。
2 再生債務者等は、第九十五条の規定による届出又は届出事項の変更があった再生債権についても、その内容及び議決権(当該届出事項の変更があった場合には、変更後の内容及び議決権)についての認否を前項の認否書に記載することができる。
3 再生債務者等は、届出がされていない再生債権があることを知っている場合には、当該再生債権について、自認する内容その他最高裁判所規則で定める事項を第一項の認否書に記載しなければならない。
4 債権届出期間内に約定劣後再生債権の届出がなかったときは、前項の規定は、約定劣後再生債権で再生債務者等が知っているものについては、適用しない。
5 再生債務者等は、第三十四条第一項に規定する再生債権の調査をするための期間(以下「一般調査期間」という。)前の裁判所の定める期限までに、前各項の規定により作成した認否書を裁判所に提出しなければならない。
6 前項の規定により提出された認否書に、第一項に規定する再生債権の内容又は議決権についての認否の記載がないときは、再生債務者等において、これを認めたものとみなす。当該認否書に第二項に規定する再生債権の内容又は議決権のいずれかについての認否の記載がない場合についても、同様とする。
(一般調査期間における調査)
第百二条 届出をした再生債権者(以下「届出再生債権者」という。)は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前条第一項若しくは第二項に規定する再生債権の内容若しくは議決権又は同条第三項の規定により認否書に記載された再生債権の内容について、書面で、異議を述べることができる。
2 再生債務者(管財人が選任されている場合に限る。)は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前項に規定する再生債権の内容について、書面で、異議を述べることができる。
3 一般調査期間を変更する決定をしたときは、その裁判書は、再生債務者、管財人及び届出再生債権者(債権届出期間の経過前にあっては、知れている再生債権者)に送達しなければならない。
4 前項の規定による送達は、第四十三条第四項に規定する方法によりすることができる。
5 前項の規定による送達をした場合においては、その郵便物等が通常到達すべきであった時に、送達があったものとみなす。
(特別調査期間における調査)
第百三条 裁判所は、第九十五条の規定による届出があり、又は届出事項の変更があった再生債権について、その調査をするための期間(以下「特別調査期間」という。)を定めなければならない。ただし、再生債務者等が第百一条第二項の規定により認否書に当該再生債権の内容又は議決権についての認否を記載している場合は、この限りでない。
2 前項本文の場合には、特別調査期間に関する費用は、当該再生債権を有する者の負担とする。
3 再生債務者等は、特別調査期間に係る再生債権について、その内容及び議決権についての認否を記載した認否書を作成し、特別調査期間前の裁判所の定める期限までに、これを裁判所に提出しなければならない。この場合には、第百一条第六項前段の規定を準用する。
4 届出再生債権者は前項の再生債権の内容又は議決権について、再生債務者(管財人が選任されている場合に限る。)は同項の再生債権の内容について、特別調査期間内に、裁判所に対して、書面で、異議を述べることができる。
5 前条第三項から第五項までの規定は、特別調査期間を定める決定又はこれを変更する決定をした場合における裁判書の送達について準用する。
(特別調査期間に関する費用の予納)
第百三条の二 前条第一項本文の場合には、裁判所書記官は、相当の期間を定め、同条第二項の再生債権を有する者に対し、同項の費用の予納を命じなければならない。
2 前項の規定による処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
3 第一項の規定による処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、異議の申立てをすることができる。
4 前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
5 第一項の場合において、同項の再生債権を有する者が同項の費用の予納をしないときは、裁判所は、決定で、その者がした再生債権の届出又は届出事項の変更に係る届出を却下しなければならない。
6 前項の規定による却下の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
(再生債権の調査の結果)
第百四条 再生債権の調査において、再生債務者等が認め、かつ、調査期間内に届出再生債権者の異議がなかったときは、その再生債権の内容又は議決権の額(第百一条第三項の規定により認否書に記載された再生債権にあっては、その内容)は、確定する。
2 裁判所書記官は、再生債権の調査の結果を再生債権者表に記載しなければならない。
3 第一項の規定により確定した再生債権については、再生債権者表の記載は、再生債権者の全員に対して確定判決と同一の効力を有する。
(再生債権の査定の裁判)
第百五条 再生債権の調査において、再生債権の内容について再生債務者等が認めず、又は届出再生債権者が異議を述べた場合には、当該再生債権(以下「異議等のある再生債権」という。
)を有する再生債権者は、その内容の確定のために、当該再生債務者等及び当該異議を述べた届出再生債権者(以下この条から第百七条まで及び第百九条において「異議者等」という。)の全員を相手方として、裁判所に査定の申立てをすることができる。ただし、第百七条第一項並びに第百九条第一項及び第二項の場合は、この限りでない。
2 前項本文の査定の申立ては、異議等のある再生債権に係る調査期間の末日から一月の不変期間内にしなければならない。
3 第一項本文の査定の申立てがあった場合には、裁判所は、当該申立てを不適法として却下する場合を除き、査定の裁判をしなければならない。
4 査定の裁判においては、異議等のある再生債権について、その債権の存否及びその内容を定める。
5 裁判所は、査定の裁判をする場合には、異議者等を審尋しなければならない。
6 第一項本文の査定の申立てについての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
(査定の申立てについての裁判に対する異議の訴え)
第百六条 前条第一項本文の査定の申立てについての裁判に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。
2 前項の訴えは、再生裁判所が管轄する。
3 第一項の訴えが提起された第一審裁判所は、再生裁判所が再生事件を管轄することの根拠となる法令上の規定が第五条第八項又は第九項の規定のみである場合(再生裁判所が第七条第四号の規定により再生事件の移送を受けた場合において、移送を受けたことの根拠となる規定が同号ロ又はハの規定のみであるときを含む。)において、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、職権で、当該訴えに係る訴訟を第五条第一項に規定する地方裁判所(同項に規定する地方裁判所がない場合にあっては、同条第二項に規定する地方裁判所)に移送することができる。
4 第一項の訴えは、これを提起する者が、異議等のある再生債権を有する再生債権者であるときは異議者等の全員を、異議者等であるときは当該再生債権者を、それぞれ被告としなければならない。
5 第一項の訴えの口頭弁論は、同項の期間を経過した後でなければ開始することができない。
6 同一の債権に関し第一項の訴えが数個同時に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。この場合においては、民事訴訟法第四十条第一項 から第三項 までの規定を準用する。
7 第一項の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、同項の裁判を認可し、又は変更する。
(異議等のある再生債権に関する訴訟の受継)
第百七条 異議等のある再生債権に関し再生手続開始当時訴訟が係属する場合において、再生債権者がその内容の確定を求めようとするときは、異議者等の全員を当該訴訟の相手方として、訴訟手続の受継の申立てをしなければならない。
2 第百五条第二項の規定は、前項の申立てについて準用する。
(主張の制限)
第百八条 第百五条第一項本文の査定の申立てに係る査定の手続又は第百六条第一項の訴えの提起若しくは前条第一項の規定による受継に係る訴訟手続においては、再生債権者は、異議等のある再生債権の内容及び原因について、再生債権者表に記載されている事項のみを主張することができる。
(執行力ある債務名義のある債権等に対する異議の主張)
第百九条 異議等のある再生債権のうち執行力ある債務名義又は終局判決のあるものについては、異議者等は、再生債務者がすることのできる訴訟手続によってのみ、異議を主張することができる。
2 前項に規定する再生債権に関し再生手続開始当時訴訟が係属する場合において、異議者等が同項の規定による異議を主張しようとするときは、異議者等は、当該再生債権を有する再生債権者を相手方とする訴訟手続を受け継がなければならない。
3 第百五条第二項は第一項の規定による異議の主張又は前項の規定による受継について、第百六条第五項及び第六項並びに前条の規定は前二項の場合について準用する。この場合においては、第百六条第五項中「同項の期間」とあるのは、「異議等のある再生債権に係る調査期間の末日から一月の不変期間」と読み替えるものとする。
4 前項において準用する第百五条第二項に規定する期間内に第一項の規定による異議の主張又は第二項の規定による受継がされなかった場合には、異議者等が再生債権者であるときは第百二条第一項又は第百三条第四項の異議はなかったものとみなし、異議者等が再生債務者等であるときは再生債務者等においてその再生債権を認めたものとみなす。
(再生債権の確定に関する訴訟の結果の記載)
第百十条 裁判所書記官は、再生債務者等又は再生債権者の申立てにより、再生債権の確定に関する訴訟の結果(第百五条第一項本文の査定の申立てについての裁判に対する第百六条第一項の訴えが、同項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該裁判の内容)を再生債権者表に記載しなければならない。
(再生債権の確定に関する訴訟の判決等の効力)
第百十一条 再生債権の確定に関する訴訟についてした判決は、再生債権者の全員に対して、その効力を有する。
2 第百五条第一項本文の査定の申立てについての裁判に対する第百六条第一項の訴えが、同項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該裁判は、再生債権者の全員に対して、確定判決と同一の効力を有する。
(訴訟費用の償還)
第百十二条 再生債務者財産が再生債権の確定に関する訴訟(第百五条第一項本文の査定の申立てについての裁判を含む。)によって利益を受けたときは、異議を主張した再生債権者は、その利益の限度において、再生債務者財産から訴訟費用の償還を請求することができる。
(再生手続終了の場合における再生債権の確定手続の取扱い)
第百十二条の二 再生手続が終了した際現に係属する第百五条第一項本文の査定の申立てに係る査定の手続は、再生計画認可の決定の確定前に再生手続が終了したときは終了するものとし、再生計画認可の決定の確定後に再生手続が終了したときは引き続き係属するものとする。
2 第六十八条第二項及び第三項の規定は、再生計画認可の決定の確定後に再生手続が終了した場合における管財人を当事者とする第百五条第一項本文の査定の申立てに係る査定の手続について準用する。
3 再生計画認可の決定の確定後に再生手続が終了した場合において、再生手続終了後に第百五条第一項本文の査定の申立てについての裁判があったときは、第百六条第一項の規定により同項の訴えを提起することができる。
4 再生手続が終了した際現に係属する第百六条第一項の訴えに係る訴訟手続であって、再生債務者等が当事者でないものは、再生計画認可の決定の確定前に再生手続が終了したときは中断するものとし、再生計画認可の決定の確定後に再生手続が終了したときは引き続き係属するものとする。
5 再生手続が終了した際現に係属する訴訟手続(再生債務者等が当事者であるものを除く。)であって、第百七条第一項又は第百九条第二項の規定による受継があったものは、再生計画認可の決定の確定前に再生手続が終了したときは中断するものとし、再生計画認可の決定の確定後に再生手続が終了したときは中断しないものとする。
6 前項の規定により訴訟手続が中断する場合においては、第六十八条第三項の規定を準用する。
(再生手続開始前の罰金等についての不服の申立て)
第百十三条 再生手続開始前の罰金等については、第百条から前条までの規定は、適用しない。
2 第九十七条の規定による届出があった追徴金又は過料の原因が審査請求、訴訟(刑事訴訟を除く。次項において同じ。)その他の不服の申立てをすることができる処分である場合には、再生債務者等は、当該追徴金又は過料について、当該不服の申立てをする方法で、異議を主張することができる。
3 前項の場合において、当該届出があった追徴金又は過料の請求権に関し再生手続開始の当時訴訟が係属するときは、同項に規定する異議を主張しようとする再生債務者等は、当該届出があった追徴金又は過料の請求権を有する再生債権者を相手方とする訴訟手続を受け継がなければならない。当該届出があった追徴金又は過料の請求権に関し再生手続開始当時再生債務者の財産関係の事件が行政庁に係属するときも、同様とする。
4 第二項の規定による異議の主張又は前項の規定による受継は、再生債務者等が第二項に規定する追徴金又は過料の届出があったことを知った日から一月の不変期間内にしなければならない。
5 第百四条第二項の規定は第九十七条の規定による届出があった再生手続開始前の罰金等について、第百八条、第百十条及び第百十一条第一項の規定は第二項の規定による異議又は第三項の規定による受継があった場合について準用する。
第四節 債権者集会及び債権者委員会
(債権者集会の招集)
第百十四条 裁判所は、再生債務者等若しくは第百十七条第二項に規定する債権者委員会の申立て又は知れている再生債権者の総債権について裁判所が評価した額の十分の一以上に当たる債権を有する再生債権者の申立てがあったときは、債権者集会を招集しなければならない。これらの申立てがない場合であっても、裁判所は、相当と認めるときは、債権者集会を招集することができる。
(債権者集会の期日の呼出し等)
第百十五条 債権者集会の期日には、再生債務者、管財人、届出再生債権者及び再生のために債務を負担し又は担保を提供する者があるときは、その者を呼び出さなければならない。ただし、第三十四条第二項の決定があったときは、再生計画案の決議をするための債権者集会の期日を除き、届出再生債権者を呼び出すことを要しない。
2 前項の規定にかかわらず、議決権を行使することができない届出再生債権者は、呼び出さないことができる。
3 債権者集会の期日は、労働組合等に通知しなければならない。
4 裁判所は、債権者集会の期日及び会議の目的である事項を公告しなければならない。
5 債権者集会の期日においてその延期又は続行について言渡しがあったときは、第一項及び前二項の規定は、適用しない。
(債権者集会の指揮)
第百十六条 債権者集会は、裁判所が指揮する。
(債権者委員会)
第百十七条 裁判所は、再生債権者をもって構成する委員会がある場合には、利害関係人の申立てにより、当該委員会が、この法律の定めるところにより、再生手続に関与することを承認することができる。ただし、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限る。
一 委員の数が、三人以上最高裁判所規則で定める人数以内であること。
二 再生債権者の過半数が当該委員会が再生手続に関与することについて同意していると認められること。
三 当該委員会が再生債権者全体の利益を適切に代表すると認められること。
2 裁判所は、必要があると認めるときは、再生手続において、前項の規定により承認された委員会(以下「債権者委員会」という。)に対して、意見の陳述を求めることができる。
3 債権者委員会は、再生手続において、裁判所、再生債務者等又は監督委員に対して、意見を述べることができる。
4 債権者委員会に再生債務者の再生に貢献する活動があったと認められるときは、裁判所は、当該活動のために必要な費用を支出した再生債権者の申立てにより、再生債務者財産から、当該再生債権者に対し、相当と認める額の費用を償還することを許可することができる。
5 裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、いつでも第一項の規定による承認を取り消すことができる。
(債権者委員会の意見聴取)
第百十八条 裁判所書記官は、前条第一項の規定による承認があったときは、遅滞なく、再生債務者等に対して、その旨を通知しなければならない。
2 再生債務者等は、前項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、再生債務者の業務及び財産の管理に関する事項について、債権者委員会の意見を聴かなければならない。
(再生債務者等の債権者委員会に対する報告義務)
第百十八条の二 再生債務者等は、第百二十四条第二項又は第百二十五条第一項若しくは第二項の規定により報告書等(報告書、財産目録又は貸借対照表をいう。以下この条において同じ。)を裁判所に提出したときは、遅滞なく、当該報告書等を債権者委員会にも提出しなければならない。
2 再生債務者等は、前項の場合において、当該報告書等に第十七条第一項に規定する支障部分に該当する部分があると主張して同項の申立てをしたときは、当該部分を除いた報告書等を債権者委員会に提出すれば足りる。
(再生債務者等に対する報告命令)
第百十八条の三 債権者委員会は、再生債権者全体の利益のために必要があるときは、裁判所に対し、再生債務者等に再生債務者の業務及び財産の管理状況その他再生債務者の事業の再生に関し必要な事項について第百二十五条第二項の規定による報告をすることを命ずるよう申し出ることができる。
2 前項の規定による申出を受けた裁判所は、当該申出が相当であると認めるときは、再生債務者等に対し、第百二十五条第二項の規定による報告をすることを命じなければならない。
第五章 共益債権、一般優先債権及び開始後債権
(共益債権となる請求権)
第百十九条 次に掲げる請求権は、共益債権とする。
一 再生債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権
二 再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権
三 再生計画の遂行に関する費用の請求権(再生手続終了後に生じたものを除く。)
四 第六十一条第一項(第六十三条、第七十八条及び第八十三条第一項において準用する場合を含む。)、第九十条の二第五項、第九十一条第一項、第百十二条、第百十七条第四項及び第二百二十三条第九項(第二百四十四条において準用する場合を含む。)の規定により支払うべき費用、報酬及び報償金の請求権
五 再生債務者財産に関し再生債務者等が再生手続開始後にした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権
六 事務管理又は不当利得により再生手続開始後に再生債務者に対して生じた請求権
七 再生債務者のために支出すべきやむを得ない費用の請求権で、再生手続開始後に生じたもの(前各号に掲げるものを除く。)
(開始前の借入金等)
第百二十条 再生債務者(保全管理人が選任されている場合を除く。以下この項及び第三項において同じ。)が、再生手続開始の申立て後再生手続開始前に、資金の借入れ、原材料の購入その他再生債務者の事業の継続に欠くことができない行為をする場合には、裁判所は、その行為によって生ずべき相手方の請求権を共益債権とする旨の許可をすることができる。
2 裁判所は、監督委員に対し、前項の許可に代わる承認をする権限を付与することができる。
3 再生債務者が第一項の許可又は前項の承認を得て第一項に規定する行為をしたときは、その行為によって生じた相手方の請求権は、共益債権とする。
4 保全管理人が再生債務者の業務及び財産に関し権限に基づいてした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権は、共益債権とする。
(社債管理会社等の費用及び報酬)
第百二十条の二 社債管理会社が再生債権である社債の管理に関する事務を行おうとする場合には、裁判所は、再生手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、当該社債管理会社の再生債務者に対する当該事務の処理に要する費用の請求権を共益債権とする旨の許可をすることができる。
2 社債管理会社が前項の許可を得ないで再生債権である社債の管理に関する事務を行った場合であっても、裁判所は、当該社債管理会社が再生債務者の事業の再生に貢献したと認められるときは、当該事務の処理に要した費用の償還請求権のうちその貢献の程度を考慮して相当と認める額を共益債権とする旨の許可をすることができる。
3 裁判所は、再生手続開始後の原因に基づいて生じた社債管理会社の報酬の請求権のうち相当と認める額を共益債権とする旨の許可をすることができる。
4 前三項の規定による許可を得た請求権は、共益債権とする。
5 第一項から第三項までの規定による許可の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前各項の規定は、次の各号に掲げる法人の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める債権で再生債権であるものの管理に関する事務につき生ずる費用又は報酬に係る請求権について準用する。
一 担保附社債信託法 (明治三十八年法律第五十二号)第二条第一項 に規定する信託契約の受託会社 同項 に規定する社債
二 投資信託及び投資法人に関する法律 (昭和二十六年法律第百九十八号)第百三十九条の三 に規定する投資法人債管理会社 同法第二条第二十四項 に規定する投資法人債
三 相互会社(保険業法 (平成七年法律第百五号)第二条第五項 に規定する相互会社をいう。以下この号及び第百六十九条の二第三項において同じ。)が発行する社債に係る社債管理会社 相互会社が発行する社債
四 資産の流動化に関する法律 (平成十年法律第百五号)第百九条 に規定する特定社債管理会社 同法第二条第七項 に規定する特定社債
五 特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律 等の一部を改正する法律(平成十二年法律第九十七号)附則第二条第一項 の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第一条 の規定による改正前の特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律 (平成十年法律第百五号。以下この号及び第百六十九条の二第三項において「旧資産流動化法」という。)第百九条 に規定する特定社債管理会社 旧資産流動化法第二条第七項 に規定する特定社債
(共益債権の取扱い)
第百二十一条 共益債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。
2 共益債権は、再生債権に先立って、弁済する。
3 共益債権に基づき再生債務者の財産に対し強制執行又は仮差押えがされている場合において、その強制執行又は仮差押えが再生に著しい支障を及ぼし、かつ、再生債務者が他に換価の容易な財産を十分に有するときは、裁判所は、再生手続開始後において、再生債務者等の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、その強制執行又は仮差押えの中止又は取消しを命ずることができる。
4 裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
5 第三項の規定による中止又は取消しの命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
(一般優先債権)
第百二十二条 一般の先取特権その他一般の優先権がある債権(共益債権であるものを除く。)は、一般優先債権とする。
2 一般優先債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。
3 優先権が一定の期間内の債権額につき存在する場合には、その期間は、再生手続開始の時からさかのぼって計算する。
4 前条第三項から第六項までの規定は、一般優先債権に基づく強制執行若しくは仮差押え又は一般優先債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行について準用する。
(開始後債権)
第百二十三条 再生手続開始後の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権、一般優先債権又は再生債権であるものを除く。)は、開始後債権とする。
2 開始後債権は、再生手続が開始された時から再生計画で定められた弁済期間が満了する時(再生計画認可の決定が確定する前に再生手続が終了した場合にあっては再生手続が終了した時、その期間の満了前に、再生計画に基づく弁済が完了した場合又は再生計画が取り消された場合にあっては弁済が完了した時又は再生計画が取り消された時)までの間は、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。
3 開始後債権に基づく再生債務者の財産に対する強制執行、仮差押え及び仮処分並びに財産開示手続の申立ては、前項に規定する期間は、することができない。
第六章 再生債務者の財産の調査及び確保
第一節 再生債務者の財産状況の調査
(財産の価額の評定等)
第百二十四条 再生債務者等は、再生手続開始後(管財人については、その就職の後)遅滞なく、再生債務者に属する一切の財産につき再生手続開始の時における価額を評定しなければならない。
2 再生債務者等は、前項の規定による評定を完了したときは、直ちに再生手続開始の時における財産目録及び貸借対照表を作成し、これらを裁判所に提出しなければならない。
3 裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、評価人を選任し、再生債務者の財産の評価を命ずることができる。
(裁判所への報告)
第百二十五条 再生債務者等は、再生手続開始後(管財人については、その就職の後)遅滞なく、次の事項を記載した報告書を、裁判所に提出しなければならない。
一 再生手続開始に至った事情
二 再生債務者の業務及び財産に関する経過及び現状
三 第百四十二条第一項の規定による保全処分又は第百四十三条第一項の規定による査定の裁判を必要とする事情の有無
四 その他再生手続に関し必要な事項
2 再生債務者等は、前項の規定によるもののほか、裁判所の定めるところにより、再生債務者の業務及び財産の管理状況その他裁判所の命ずる事項を裁判所に報告しなければならない。
3 監督委員は、裁判所の定めるところにより、再生債務者の業務及び財産の管理状況その他裁判所の命ずる事項を裁判所に報告しなければならない。
(財産状況報告集会への報告)
第百二十六条 再生債務者の財産状況を報告するために招集された債権者集会においては、再生債務者等は、前条第一項に掲げる事項の要旨を報告しなければならない。
2 前項の債権者集会(以下「財産状況報告集会」という。)においては、裁判所は、再生債務者、管財人又は届出再生債権者から、管財人の選任並びに再生債務者の業務及び財産の管理に関する事項につき、意見を聴かなければならない。
3 財産状況報告集会においては、労働組合等は、前項に規定する事項について意見を述べることができる。
第二節 否認権
(再生債権者を害する行為の否認)
第百二十七条 次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
一 再生債務者が再生債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、再生債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
二 再生債務者が支払の停止又は再生手続開始、破産手続開始、整理開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした再生債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び再生債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 再生債務者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、再生手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、再生債務者財産のために否認することができる。
3 再生債務者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
(相当の対価を得てした財産の処分行為の否認)
第百二十七条の二 再生債務者が、その有する財産を処分する行為をした場合において、その行為の相手方から相当の対価を取得しているときは、その行為は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
一 当該行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により、再生債務者において隠匿、無償の供与その他の再生債権者を害する処分(以下この条並びに第百三十二条の二第二項及び第三項において「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。
二 再生債務者が、当該行為の当時、対価として取得した金銭その他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこと。
三 相手方が、当該行為の当時、再生債務者が前号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと。
2 前項の規定の適用については、当該行為の相手方が次に掲げる者のいずれかであるときは、その相手方は、当該行為の当時、再生債務者が同項第二号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。
一 再生債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役、清算人又はこれらに準ずる者
二 再生債務者が法人である場合にその再生債務者について次のイからハまでに掲げる者のいずれかに該当する者
イ 再生債務者である株式会社の総株主の議決権の過半数又は再生債務者である有限会社の総社員の議決権の過半数を有する者
ロ 再生債務者である株式会社の総株主の議決権の過半数又は再生債務者である有限会社の総社員の議決権の過半数を子会社又は親法人及び子会社が有する場合における当該親法人
ハ 株式会社又は有限会社以外の法人が再生債務者である場合におけるイ又はロに掲げる者に準ずる者
三 再生債務者の親族又は同居者
(特定の債権者に対する担保の供与等の否認)
第百二十七条の三 次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
一 再生債務者が支払不能になった後又は再生手続開始、破産手続開始、整理開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この節において「再生手続開始の申立て等」という。)があった後にした行為。ただし、債権者が、その行為の当時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。
イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。
ロ 当該行為が再生手続開始の申立て等があった後にされたものである場合 再生手続開始の申立て等があったこと。
二 再生債務者の義務に属せず、又はその時期が再生債務者の義務に属しない行為であって、支払不能になる前三十日以内にされたもの。ただし、債権者がその行為の当時他の再生債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 前項第一号の規定の適用については、次に掲げる場合には、債権者は、同号に掲げる行為の当時、同号イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実(同号イに掲げる場合にあっては、支払不能であったこと及び支払の停止があったこと)を知っていたものと推定する。
一 債権者が前条第二項各号に掲げる者のいずれかである場合
二 前項第一号に掲げる行為が再生債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が再生債務者の義務に属しないものである場合
3 第一項各号の規定の適用については、支払の停止(再生手続開始の申立て等の前一年以内のものに限る。)があった後は、支払不能であったものと推定する。
(手形債務支払の場合等の例外)
第百二十八条 前条第一項第一号の規定は、再生債務者から手形の支払を受けた者がその支払を受けなければ手形上の債務者の一人又は数人に対する手形上の権利を失う場合には、適用しない。
2 前項の場合において、最終の償還義務者又は手形の振出しを委託した者が振出しの当時支払の停止等があったことを知り、又は過失によって知らなかったときは、第五十六条第一項の規定により否認権を行使する権限を付与された監督委員(以下「否認権限を有する監督委員」という。)又は管財人は、これらの者に再生債務者が支払った金額を償還させることができる。
3 前条第一項の規定は、再生債務者が再生手続開始前の罰金等につき、その徴収の権限を有する者に対してした担保の供与又は債務の消滅に関する行為には、適用しない。
(権利変動の対抗要件の否認)
第百二十九条 支払の停止等があった後権利の設定、移転又は変更をもって第三者に対抗するために必要な行為(仮登記又は仮登録を含む。)をした場合において、その行為が権利の設定、移転又は変更があった日から十五日を経過した後悪意でしたものであるときは、これを否認することができる。ただし、当該仮登記又は仮登録以外の仮登記又は仮登録があった後にこれらに基づいてされた本登記又は本登録は、この限りでない。
2 前項の規定は、権利取得の効力を生ずる登録について準用する。
(執行行為の否認)
第百三十条 否認権は、否認しようとする行為につき、執行力のある債務名義があるとき、又はその行為が執行行為に基づくものであるときでも、行うことを妨げない。
(支払の停止を要件とする否認の制限)
第百三十一条 再生手続開始の申立て等の日から一年以上前にした行為(第百二十七条第三項に規定する行為を除く。)は、支払の停止があった後にされたものであること又は支払の停止の事実を知っていたことを理由として否認することができない。
(否認権行使の効果)
第百三十二条 否認権の行使は、再生債務者財産を原状に復させる。
2 第百二十七条第三項に規定する行為が否認された場合において、相手方は、当該行為の当時、支払の停止等があったこと及び再生債権者を害する事実を知らなかったときは、その現に受けている利益を償還すれば足りる。
(再生債務者の受けた反対給付に関する相手方の権利等)
第百三十二条の二 第百二十七条第一項若しくは第三項又は第百二十七条の二第一項に規定する行為が否認されたときは、相手方は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
一 再生債務者の受けた反対給付が再生債務者財産中に現存する場合 当該反対給付の返還を請求する権利
二 再生債務者の受けた反対給付が再生債務者財産中に現存しない場合 共益債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利
2 前項第二号の規定にかかわらず、同号に掲げる場合において、当該行為の当時、再生債務者が対価として取得した財産について隠匿等の処分をする意思を有し、かつ、相手方が再生債務者がその意思を有していたことを知っていたときは、相手方は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
一 再生債務者の受けた反対給付によって生じた利益の全部が再生債務者財産中に現存する場合 共益債権者としてその現存利益の返還を請求する権利
二 再生債務者の受けた反対給付によって生じた利益が再生債務者財産中に現存しない場合 再生債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利
三 再生債務者の受けた反対給付によって生じた利益の一部が再生債務者財産中に現存する場合 共益債権者としてその現存利益の返還を請求する権利及び再生債権者として反対給付と現存利益との差額の償還を請求する権利
3 前項の規定の適用については、当該行為の相手方が第百二十七条の二第二項各号に掲げる者のいずれかであるときは、その相手方は、当該行為の当時、再生債務者が前項の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。
4 否認権限を有する監督委員又は管財人は、第百二十七条第一項若しくは第三項又は第百二十七条の二第一項に規定する行為を否認しようとするときは、前条第一項の規定により再生債務者財産に復すべき財産の返還に代えて、相手方に対し、当該財産の価額から前三項の規定により共益債権となる額(第一項第一号に掲げる場合にあっては、再生債務者の受けた反対給付の価額)を控除した額の償還を請求することができる。
(相手方の債権の回復)
第百三十三条 第百二十七条の三第一項に規定する行為が否認された場合において、相手方がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、相手方の債権は、これによって原状に復する。
(転得者に対する否認権)
第百三十四条 次に掲げる場合には、否認権は、転得者に対しても、行使することができる。
一 転得者が転得の当時、それぞれその前者に対する否認の原因のあることを知っていたとき。
二 転得者が第百二十七条の二第二項各号に掲げる者のいずれかであるとき。ただし、転得の当時、それぞれその前者に対する否認の原因のあることを知らなかったときは、この限りでない。
三 転得者が無償行為又はこれと同視すべき有償行為によって転得した場合において、それぞれその前者に対して否認の原因があるとき。
2 第百三十二条第二項の規定は、前項第三号の規定により否認権の行使があった場合について準用する。
(否認権のための保全処分)
第百三十四条の二 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間において、否認権を保全するため必要があると認めるときは、利害関係人(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより又は職権で、仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
2 前項の規定による保全処分は、担保を立てさせて、又は立てさせないで命ずることができる。
3 裁判所は、申立てにより又は職権で、第一項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。
4 第一項の規定による保全処分及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
5 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
6 第四項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
7 前各項の規定は、再生手続開始の申立てを棄却する決定に対して第三十六条第一項の即時抗告があった場合について準用する。
(保全処分に係る手続の続行と担保の取扱い)
第百三十四条の三 前条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による保全処分が命じられた場合において、再生手続開始の決定があったときは、否認権限を有する監督委員又は管財人は、当該保全処分に係る手続を続行することができる。
2 再生手続開始の決定後一月以内に前項の規定により同項の保全処分に係る手続が続行されないときは、当該保全処分は、その効力を失う。
3 否認権限を有する監督委員又は管財人は、第一項の規定により同項の保全処分に係る手続を続行しようとする場合において、前条第二項(同条第七項において準用する場合を含む。)に規定する担保の全部又は一部が再生債務者財産に属する財産でないときは、その担保の全部又は一部を再生債務者財産に属する財産による担保に変換しなければならない。
4 民事保全法 (平成元年法律第九十一号)第十八条 並びに第二章第四節 (第三十七条第五項から第七項までを除く。)及び第五節 の規定は、第一項の規定により否認権限を有する監督委員又は管財人が続行する手続に係る保全処分について準用する。
(否認権の行使)
第百三十五条 否認権は、訴え又は否認の請求によって、否認権限を有する監督委員又は管財人が行う。
2 前項の訴え及び否認の請求事件は、再生裁判所が管轄する。
3 第一項に規定する方法によるほか、管財人は、抗弁によっても、否認権を行うことができる。
(否認の請求)
第百三十六条 否認の請求をするときは、その原因となる事実を疎明しなければならない。
2 否認の請求を認容し、又はこれを棄却する裁判は、理由を付した決定でしなければならない。
3 裁判所は、前項の決定をする場合には、相手方又は転得者を審尋しなければならない。
4 否認の請求を認容する決定があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
5 否認の請求の手続は、再生手続が終了したときは、終了する。
(否認の請求を認容する決定に対する異議の訴え)
第百三十七条 否認の請求を認容する決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。
2 前項の訴えは、再生裁判所が管轄する。
3 第一項の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、同項の決定を認可し、変更し、又は取り消す。
4 第一項の決定を認可する判決が確定したときは、その決定は、確定判決と同一の効力を有する。同項の訴えが、同項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときも、同様とする。
5 第一項の決定を認可し、又は変更する判決については、受訴裁判所は、民事訴訟法第二百五十九条第一項 の定めるところにより、仮執行の宣言をすることができる。
6 第一項の訴えに係る訴訟手続で否認権限を有する監督委員が当事者であるものは、再生手続開始の決定の取消しの決定の確定又は再生手続終結の決定により再生手続が終了したときは終了するものとし、再生計画不認可、再生手続廃止又は再生計画取消しの決定の確定により再生手続が終了したときは中断するものとする。
7 第一項の訴えに係る訴訟手続で管財人が当事者であるものは、再生手続開始の決定の取消しの決定の確定又は再生手続終結の決定により再生手続が終了したときは、第六十八条第二項の規定にかかわらず、終了するものとする。
(否認権限を有する監督委員の訴訟参加等)
第百三十八条 否認権限を有する監督委員は、第百三十五条第一項の規定にかかわらず、否認権の行使に係る相手方(以下この条において「相手方」という。)及び再生債務者間の訴訟が係属する場合には、否認権を行使するため、相手方を被告として、当事者としてその訴訟に参加することができる。ただし、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る請求をする場合に限る。
2 否認権限を有する監督委員が当事者である否認の訴え(前条第一項の訴え及び第百四十条第二項の規定により受継された訴訟手続を含む。)が係属する場合には、再生債務者は、当該訴えの目的である権利又は義務に係る請求をするため、相手方を被告として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
3 前項に規定する場合には、相手方は、当該訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、再生債務者を被告として、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る訴えをこれに併合して提起することができる。
4 民事訴訟法第四十条第一項 から第三項 までの規定は前三項の場合について、同法第四十三条 並びに第四十七条第二項 及び第三項 の規定は第一項 及び第二項 の規定による参加の申出について準用する。
(否認権行使の期間)
第百三十九条 否認権は、再生手続開始の日(再生手続開始の日より前に破産手続が開始されている場合にあっては、破産手続開始の日)から二年を経過したときは、行使することができない。否認しようとする行為の日から二十年を経過したときも、同様とする。
(詐害行為取消訴訟等の取扱い)
第百四十条 否認権限を有する監督委員又は管財人は、第四十条の二第一項の規定により中断した訴訟手続のうち、民法第四百二十四条 の規定により再生債権者の提起した訴訟又は破産法 の規定による否認の訴訟若しくは否認の請求を認容する決定に対する異議の訴訟に係るものを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
2 前項の場合においては、相手方の再生債権者又は破産管財人に対する訴訟費用請求権は、共益債権とする。
3 第一項に規定する訴訟手続について同項の規定による受継があった後に再生手続が終了したときは、次条第一項の規定により中断している場合を除き、当該訴訟手続は中断する。
4 前項の場合又は第一項に規定する訴訟手続が次条第一項の規定により中断した後に再生手続が終了した場合には、再生債権者又は破産管財人において当該訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
(否認の訴え等の中断及び受継)
第百四十一条 次の各号に掲げる裁判が取り消された場合には、当該各号に定める訴訟手続は、中断する。
一 監督命令又は第五十六条第一項の規定による裁判 否認権限を有する監督委員が当事者である否認の訴え若しくは第百三十七条第一項の訴えに係る訴訟手続、否認権限を有する監督委員が第百三十八条第一項の規定による参加をした訴訟手続又は否認権限を有する監督委員が受継した前条第一項に規定する訴訟手続
二 管理命令 管財人が当事者である第百三十七条第一項の訴えに係る訴訟手続又は管財人が受継した前条第一項に規定する訴訟手続
2 前項の規定により中断した訴訟手続は、その後、監督委員が第五十六条第一項の規定により否認権を行使する権限を付与された場合又は管財人が選任された場合には、その監督委員又は管財人においてこれを受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
第三節 法人の役員の責任の追及
(法人の役員の財産に対する保全処分)
第百四十二条 裁判所は、法人である再生債務者について再生手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、再生債務者の理事、取締役、執行役、監事、監査役、清算人又はこれらに準ずる者(以下この条から第百四十五条までにおいて「役員」という。)の責任に基づく損害賠償請求権につき、役員の財産に対する保全処分をすることができる。
2 裁判所は、緊急の必要があると認めるときは、再生手続開始の決定をする前でも、再生債務者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより又は職権で、前項の保全処分をすることができる。
3 第一項に規定する場合において管財人が選任されていないとき、又は前項に規定する場合において保全管理人が選任されていないときは、再生債権者も、第一項又は前項の申立てをすることができる。
4 裁判所は、第一項又は第二項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。
5 第一項若しくは第二項の規定による保全処分又は前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
7 第五項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
(損害賠償請求権の査定の申立て等)
第百四十三条 裁判所は、法人である再生債務者について再生手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、役員の責任に基づく損害賠償請求権の査定の裁判をすることができる。
2 前項に規定する場合において、管財人が選任されていないときは、再生債権者も、同項の申立てをすることができる。
3 第一項の申立てをするときは、その原因となる事実を疎明しなければならない。
4 裁判所は、職権で査定の手続を開始する場合には、その旨の決定をしなければならない。
5 第一項の申立てがあったとき、又は職権による査定の手続の開始決定があったときは、時効の中断に関しては、裁判上の請求があったものとみなす。
6 査定の手続(第一項の査定の裁判があった後のものを除く。)は、再生手続が終了したときは、終了する。
(損害賠償請求権の査定に関する裁判)
第百四十四条 前条第一項の査定の裁判及び同項の申立てを棄却する裁判は、理由を付した決定でしなければならない。
2 裁判所は、前項の決定をする場合には、役員を審尋しなければならない。
3 前条第一項の査定の裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
(査定の裁判に対する異議の訴え)
第百四十五条 第百四十三条第一項の査定の裁判に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。
2 前項の訴えは、再生裁判所が管轄する。
3 第一項の訴え(次項の訴えを除く。)は、これを提起する者が、役員であるときは第百四十三条第一項の申立てをした者を、同項の申立てをした者であるときは役員を、それぞれ被告としなければならない。
4 職権でされた査定の裁判に対する第一項の訴えは、これを提起する者が、役員であるときは再生債務者等を、再生債務者等であるときは役員を、それぞれ被告としなければならない。
第百四十六条 前条第一項の訴えの口頭弁論は、同項の期間を経過した後でなければ開始することができない。
2 前条第一項の訴えが数個同時に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。この場合においては、民事訴訟法第四十条第一項 から第三項 までの規定を準用する。
3 前条第一項の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、査定の裁判を認可し、変更し、又は取り消す。
4 査定の裁判を認可し、又は変更した判決は、強制執行に関しては、給付を命ずる判決と同一の効力を有する。
5 査定の裁判を認可し、又は変更した判決については、受訴裁判所は、民事訴訟法第二百五十九条第一項 の定めるところにより、仮執行の宣言をすることができる。
6 再生手続が終了したときは、前条第一項の訴えに係る訴訟手続であって再生債務者等が当事者でないものは、中断する。この場合においては、第六十八条第三項の規定を準用する。
(査定の裁判の効力)
第百四十七条 第百四十五条第一項の訴えが、同項の期間内に提起されないとき、又は却下されたときは、査定の裁判は、給付を命ずる確定判決と同一の効力を有する。
第四節 担保権の消滅
(担保権消滅の許可等)
第百四十八条 再生手続開始の時において再生債務者の財産につき第五十三条第一項に規定する担保権(以下この条、次条及び第百五十二条において「担保権」という。)が存する場合において、当該財産が再生債務者の事業の継続に欠くことのできないものであるときは、再生債務者等は、裁判所に対し、当該財産の価額に相当する金銭を裁判所に納付して当該財産につき存するすべての担保権を消滅させることについての許可の申立てをすることができる。
2 前項の許可の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 担保権の目的である財産の表示
二 前号の財産の価額
三 消滅すべき担保権の表示
四 前号の担保権によって担保される債権の額
3 第一項の許可の決定があった場合には、その裁判書を、前項の書面(以下この条及び次条において「申立書」という。)とともに、当該申立書に記載された同項第三号の担保権を有する者(以下この条から第百五十三条までにおいて「担保権者」という。)に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
4 第一項の許可の決定に対しては、担保権者は、即時抗告をすることができる。
5 前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を担保権者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
6 第二項第三号の担保権が根抵当権である場合において、根抵当権者が第三項の規定による送達を受けた時から二週間を経過したときは、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
7 民法第三百九十八条の二十第二項 の規定は、第一項の許可の申立てが取り下げられ、又は同項の許可が取り消された場合について準用する。
(価額決定の請求)
第百四十九条 担保権者は、申立書に記載された前条第二項第二号の価額(第百五十一条及び第百五十二条において「申出額」という。)について異議があるときは、当該申立書の送達を受けた日から一月以内に、担保権の目的である財産(次条において「財産」という。)について価額の決定を請求することができる。
2 前条第一項の許可をした裁判所は、やむを得ない事由がある場合に限り、担保権者の申立てにより、前項の期間を伸長することができる。
3 第一項の規定による請求(以下この条から第百五十二条までにおいて「価額決定の請求」という。)に係る事件は、再生裁判所が管轄する。
4 価額決定の請求をする者は、その請求に係る手続の費用として再生裁判所の定める金額を予納しなければならない。
5 前項に規定する費用の予納がないときは、再生裁判所は、価額決定の請求を却下しなければならない。
(財産の価額の決定)
第百五十条 価額決定の請求があった場合には、再生裁判所は、当該請求を却下する場合を除き、評価人を選任し、財産の評価を命じなければならない。
2 前項の場合には、再生裁判所は、評価人の評価に基づき、決定で、財産の価額を定めなければならない。
3 担保権者が数人ある場合には、前項の決定は、担保権者の全員につき前条第一項の期間(同条第二項の規定により期間が伸長されたときは、その伸長された期間。第百五十二条第一項において「請求期間」という。)が経過した後にしなければならない。この場合において、数個の価額決定の請求事件が同時に係属するときは、事件を併合して裁判しなければならない。
4 第二項の決定は、価額決定の請求をしなかった担保権者に対しても、その効力を有する。
5 価額決定の請求についての決定に対しては、再生債務者等及び担保権者は、即時抗告をすることができる。
6 価額決定の請求についての決定又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を再生債務者等及び担保権者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
(費用の負担)
第百五十一条 価額決定の請求に係る手続に要した費用は、前条第二項の決定により定められた価額が、申出額を超える場合には再生債務者の負担とし、申出額を超えない場合には価額決定の請求をした者の負担とする。ただし、申出額を超える額が当該費用の額に満たないときは、当該費用のうち、その超える額に相当する部分は再生債務者の負担とし、その余の部分は価額決定の請求をした者の負担とする。
2 前条第五項の即時抗告に係る手続に要した費用は、当該即時抗告をした者の負担とする。
3 第一項の規定により再生債務者に対して費用請求権を有する者は、その費用に関し、次条第一項の規定により納付された金銭について、他の担保権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。
4 次条第四項の場合には、第一項及び第二項の費用は、これらの規定にかかわらず、再生債務者の負担とする。この場合においては、再生債務者に対する費用請求権は、共益債権とする。
(価額に相当する金銭の納付等)
第百五十二条 再生債務者等は、請求期間内に価額決定の請求がなかったとき、又は価額決定の請求のすべてが取り下げられ、若しくは却下されたときは申出額に相当する金銭を、第百五十条第二項の決定が確定したときは当該決定により定められた価額に相当する金銭を、裁判所の定める期限までに裁判所に納付しなければならない。
2 担保権者の有する担保権は、前項の規定による金銭の納付があった時に消滅する。
3 第一項の規定による金銭の納付があったときは、裁判所書記官は、消滅した担保権に係る登記又は登録の抹消を嘱託しなければならない。
4 再生債務者等が第一項の規定による金銭の納付をしないときは、裁判所は、第百四十八条第一項の許可を取り消さなければならない。
(配当等の実施)
第百五十三条 裁判所は、前条第一項の規定による金銭の納付があった場合には、次項に規定する場合を除き、配当表に基づいて、担保権者に対する配当を実施しなければならない。
2 担保権者が一人である場合又は担保権者が二人以上であって前条第一項の規定により納付された金銭で各担保権者の有する担保権によって担保される債権及び第百五十一条第一項の規定により再生債務者の負担すべき費用を弁済することができる場合には、裁判所は、当該金銭の交付計算書を作成して、担保権者に弁済金を交付し、剰余金を再生債務者等に交付する。
3 民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)第八十五条 及び第八十八条 から第九十二条 までの規定は第一項 の配当の手続について、同法第八十八条 、第九十一条及び第九十二条の規定は前項の規定による弁済金の交付の手続について準用する。
第七章 再生計画
第一節 再生計画の条項
(再生計画の条項)
第百五十四条 再生計画においては、次に掲げる事項に関する条項を定めなければならない。
一 全部又は一部の再生債権者の権利の変更
二 共益債権及び一般優先債権の弁済
三 知れている開始後債権があるときは、その内容
2 債権者委員会が再生計画で定められた弁済期間内にその履行を確保するため監督その他の関与を行う場合において、再生債務者がその費用の全部又は一部を負担するときは、その負担に関する条項を定めなければならない。
3 第百六十六条第一項の規定による裁判所の許可があった場合には、再生計画の定めによる資本の減少に関する条項を定めることができる。この場合においては、株式の併合に関する条項又は再生債務者が発行する株式の総数についての定款の変更に関する条項をも定めることができる。
4 第百六十六条の二第二項の規定による裁判所の許可があった場合には、再生計画において、株主以外の者に対する新株の発行に関する条項を定めることができる。
(再生計画による権利の変更)
第百五十五条 再生計画による権利の変更の内容は、再生債権者の間では平等でなければならない。ただし、不利益を受ける再生債権者の同意がある場合又は少額の再生債権若しくは第八十四条第二項に掲げる請求権について別段の定めをし、その他これらの者の間に差を設けても衡平を害しない場合は、この限りでない。
2 前項の規定にかかわらず、約定劣後再生債権の届出がある場合における再生計画においては、再生債権(約定劣後再生債権を除く。)を有する者と約定劣後再生債権を有する者との間においては、第三十五条第四項に規定する配当の順位についての合意の内容を考慮して、再生計画の内容に公正かつ衡平な差を設けなければならない。
3 再生計画によって債務が負担され、又は債務の期限が猶予されるときは、特別の事情がある場合を除き、再生計画認可の決定の確定から十年を超えない範囲で、その債務の期限を定める