特定調停は、任意整理とどこが違うの?
特定調停は、裁判上の手続です。
特定調停も任意整理も、話し合って借金を整理する方法です。 利息制限法という法律に従って高い利息を計算しなおし、借金を減額します。これを無理のない形で払っていく方法を債権者と話し合います。 任意整理は弁護士・司法書士が間に入って交渉しますが、特定調停は裁判所が選んだ調停委員(弁護士、学識経験者等)が交渉します。裁判所を利用した任意整理のようなものです。
誰でも特定調停ができるの?
借金の支払いに困っている人なら誰でもできます。
ただし、減額された借金を3年程度で返せる見込みがないと、申し立てることはできても調停の成立は難しいでしょう。
特定調停は本人でもできるの?
できますが、できれば相談しましょう。
特定調停では、調停委員が自分の代わりに業者に交渉してくれます。しかし、まずは自分で調停委員を納得させられないと成功しません。このため、具体的な数字でしっかりとした返済プランを立てる必要があります。やはり、弁護士・司法書士に相談した方がよいでしょう。
特定調停をすると、借金はどのくらい減るの?
借りている期間が長いほど減ります。
借入期間や借り方などによりますが、20~30%減る傾向にあります。場合によっては、もう既に払い終わって借金が0円になっていることや、払い過ぎていることもあります。払い過ぎた分は訴訟などにより請求できます。
一部の債権者を除いて特定調停をできるの?
できます。
たとえば、保証人をつけている業者をのぞいて残りを申し立てたり、高金利の1社だけを申し立てるたりすることができます。
税金の滞納など、市区町村を相手に特定調停ができるの?
できません。
公的な機関に対して特定調停を申し立てることはできません。市区町村などに支払方法の変更や分割回数などを相談するとよいでしょう。
ギャンブルや浪費が原因でも特定調停を利用できるの?
できます。
自己破産の場合の免責不許可事由(浪費やギャンブルなどによる借金)がある場合も、特定調停では問題ありません。
連帯保証人に迷惑はかかるの?
かかるでしょう。
特定調停をすると、貸主は連帯保証人に請求できます。連帯保証人には事前に相談し、一緒に対策を相談しましょう。保証人がついている借金は外して特定調停をすることもできます。
特定調停はどこの裁判所に申し立てればよいの?
債権者の住所を受け持つ簡易裁判所です。
債権者の住所がばらばらであっても(管轄する裁判所が異なっていても)1ヶ所にまとめて申し立てることはできます。
貸金業者と直接、話をしなければならないの?
調停委員(2人)が代わりに話してくれます。
自分が業者と話す必要はありません。あなたは調停委員と話し合い、業者には調停委員が話してくれます。
特定調停が成立しなかったらどうするの?
訴訟に移るか、他の方法を検討しましょう。
調停がうまくいかなかった場合、利息をつけた状態で支払っていかなければならなくなります。しかし、利息制限法で計算しなおして減った利息が元の高金利に戻ってしまうことはありません。 他の方法(任意整理・個人再生・自己破産) を弁護士と相談の上検討しましょう。 なお、利息の話どころか調停自体に応じない債権者には、訴訟により今残っている借金の金額を確定してもらう(若しくは、もう支払い済みで借金は一切残って いない、という確認をとる)手続きをとり、裁判によって相手方を交渉の場につかせるということも検討します。
特定調停で合意した後に作成される「調停調書」とは何?
裁判所が作った和解書のようなものです。
調停調書には、毎月の支払額や将来利息、何回目の延滞で強制執行ができるか、などが記載されています。確定判決と同じ効力を持っているので、内容どおりに返せないと給料などを差し押さえられる可能性があります。和解内容は慎重に検討してください。
申立をしてから、解決までにどのくらいの時間がかかるの?
3ヶ月位でしょう。
債権者の数や裁判所の混み具合にもよりますが、2ヶ月~3ヶ月位です。この間に、2回以上裁判所に行くことになります。